仕事の遅い男

今月もこの時期が来ました。

月に一回、保護者さま向けにコラムのようなものを書いているのですが、毎月、なかなか何を書こうかが思いつかず苦悶しております。

ブログはとくに何も考えずに書いていたり、

内容的にも、保護者さま向けに7年間書きためたものの中から、数年前に調べて書いたようなことを思い出したりしながら書いたりしていて気楽なのですが、

どうもコラムとなると力が入ってしまったり、

いま、みんなを見ていて感じることって……

いま、伝えておいた方がいいことって……となったりで、なかなか書けません。

毎月「今月はこれについて書こう」と思いついても、そのあとも本を10冊ぐらい読んだり調べたりして、1、2週間はこれ書こうかな、いや、これは省こう……などと考えています。

「この流れでいこう」って思うとスラスラと1時間くらいで書けるのですが不思議なものです。

そんなわけで、毎月、編集担当のK先生から

「早く書け」

と言われ続けています。

「まだ書けていないんですか?」

「昨日、明日にはできるって言いましたよね?」

「何回言えばいいんですか?」

「はあ〜〜〜〜〜〜」

と言われ、家族にも、

「今月もまたどめ先生が提出しない」

と愚痴られ、

家族内で「仕事の遅い男」認定をされております。

まるでいちばん下っ端のような扱いですね。。。はい。。。

さて、そんな時に、すばらしい記事を見つけました。

なんと、

「先延ばしするのはクリエイティブな能力が高いひとや問題解決能力が高いひとによく見られる習慣」だそう。

すばらしい。

最高。

あのレオナルド・ダヴィンチは「モナ・リザ」を1503年に描き始め、亡くなる直前の1519年に描きあげました。

その間、光の実験や研究をしていたことが、絵の立体感を出すことにつながったのだそう。

そして、

あのキング牧師も、「I have a dream.」の前、スピーチライターやアドバイザーに意見を求めてから数週間内容を決めず、4日前になって取り組み始め、前夜に作り直し。

しかも、あの「夢」に関する内容は、実際の原稿にはまったく記載されていないそうなのです。

直前まで練って煮詰めているから、最後、即興で生み出されたりする。

「先延ばし」は生産性にとっては有害かもしれませんが、創造性にとっては有利なのかもしれません。

ただし、そのためには、目的のための素材をストックし続けることが大事なのだそう。

これをしようと考えて、素材を集めつづけていると、いつかフッとおもしろいアイデアがわいてくる。

「仕事が遅い」ので、

クリエイティブで、問題解決能力が高いのかもしれません。

そして、もし、

「仕事が遅い」と言われたとき、

よかったら、

「いま、クリエイティブなアイデアがフッとわいてくるのを待っているんだ」

と言ってみてくださいね。

僕は言ったところ、

「いいから早く書いてください」

と言われましたが。。。

ではでは。

(オセロ大会と将棋大会以来、教室内では静かなブームが続いています^ ^)

映画館のインスタ女子

こんばんは。

新留です。

緊急事態宣言が出たことにより映画館で映画を見れなくなって久しいですが、コロナで生活習慣が変わる以前は、1週間に1本は映画館で映画をみる生活をしていました。

映画館で映画をみる醍醐味は、2時間などのまとまった時間を目の前の映画だけに没頭できるということ(これって、忙しい今ではすごく贅沢な時間だなと思っています)や、

ポップコーンだったり、ポップコーンだったりしますが、

集中して見たいというのもあり、レイトショーだったりで混む時間帯を避けたり、

少し人気が落ち着いてから見に行ったり、

前に集団で見にきてワチャワチャするようなひとがいると困るので席を考えたりと、いろんな対策をして見にいくようにしていました。

ところが、あるとき、

事前に予約サイトを確認し、空いているなと思って見に行ってみると、直前に映画を見ることを決めたひとが多いのか、思いのほかお客さんが入っていて(と言っても埋まっているのは30〜40%ほどですが)、2つ席を空けた並びに、若い女性が2人並んで座ってきたことがありました。

ギリギリに入ってきたり、来るときも騒がしかったりで嫌だな〜という感じはしていたのですが、予感は的中。

TOHOシネマズだと、上映前に予告編だけでなく、ドラえもんのコロナ対策の案内が出たり、映画泥棒のムービーが流れたりしますが、

NO TALKING

NO KICKING

などのときも、全然スクリーンを見ていなく、横を向いて話しています。そして、声もでかい。

映画中も、好きな俳優さんがいるのか、その俳優さんが出てきたらキャー! と言ったり、その俳優さんのことを調べているのかまではわかりませんが、スマホをつけ、インスタを開いたりしています。

映画館でスマホの光って目立つのですよね。

せっかくの没頭する時間なのに……と、何度も集中が切れてしまいました。

終わった後、映画自体はおもしろかったのに、どこかモヤっとした気持ちを抱えたまま映画館を出たのですが、

なんで映画館で話をするのかな……

そもそもコロナのこともあるし、話をするってどういうこと……

上映前にもあんなに案内が出ているのに……

と考えていて、ふと、思いました。

「あの子たち、まさかだけど、映画館で話をしたらいけないってことを知らない?」

そうでない可能性ももちろんあり、ただのマナーの悪い子たちの可能性もありますが、

予告編のときなども前を見ていないし、それをいけないことなんだよと注意してくれる大人がいなかったりで、そもそも、それがいけないことだとわかっていない可能性もあるなと思ったのです。

ショッピングモールやひとの集まる場所などで、子育てに疲れた感じのあるお母さんたちが、小さい子に、

「こら、ダメでしょ!」

「なんべん言ったらわかるの!」

と怒鳴っているのを見かけることがありますが、

あれって、ダメって言われているし怒られているけれど、

「じゃあ、どうしたらいいのか」がわかっていないこと、伝わっていないことって少なくないのですね。

それと同じような状況なのかもしれないと思いました。

映画館で話をしたり、スマホをいじっている女の子たちも、ひょっとして、そういう、「どうすればいいのかわかっていない」可能性もあるのではないかと思い、ただイライラしていたのが、ちょっと納得する部分がありました。

以前、東洋思想研究家の田口佳史さんが、

「少しでも社会を健全によくして、次の世代に送るのが大人の責任」

「日本の教育には3つあって、1番が家庭教育、2番が地域教育、3番が学校教育。教育の3者をもう1回再興するのが、いま非常に重要」

「正しいという字は“この線で止まれ”ということ。線というものがないと人間はどこで止まっていいかわからない」

とおっしゃっていました。

普段、すばらしい才能と力を持っている子たちと関わらせていただいていますが、

才能だけで正しい努力をしないとせっかくの力も開花しないし、

せっかく力があっても、そこに人間性や人間的な魅力が伴っていないと、応援されないし、人の恨みをかって足をすくわれることもあります。

すばらしい才能を持った子どもたちの成長と教育に関わっているものとして、きちんと「線引き」をしてあげられる存在でないといけないなと改めて思った出来事でした。

やる気より「その気」

こんにちは。新留です。

先日の保護者さまとの面談でのこと。

少し前までは、

「やる気が出ない〜」

「めんどくさい〜」

とよく言っていた子なのですが最近はすごくいい感じで、表情も明るく、波に乗れているなと感じていたので、

保護者さまと「いい感じですね」と話していると、

この頃は自分から机に向かい、毎日2時間は勉強をしているとのこと。

いい意味で基準が上がり、自分にきびしくなってきているようでした。

「先生にやる気なんてなくて、やっているうちに出てくるものって言われた〜」

と家で言っていたらしく、

実際にやってみて、

「ほんとやったわ」

とお母さまに伝えていたそう。

授業中、勉強以外の話をすることもありますが、言ったことを素直に聞いてくれ、やって実感してくれたんだなとうれしくなりました^ ^

何かをやりたいと思っても、その日の体調や気分ってあります。

好きなことでも、やりたくない日や気分が乗らない日もあるんですよね。

僕もよーくあります(笑)

でも、どこの中学校に行きたい、どこでこんなことをしたいってなったとき、

レベルの高いところや人気のあるところに行こうと思うと、それだけ競争率も高く、まわりのレベルが高くなり、求められることが多くなります。

その中で選ばれるためには、必然的にやらなくてはいけないことも増えていきます。

どうやって、いろんな波がある中でも、やり続けられるかが大切なんですよね。

もちろん、受験が誰かが決めたからではなく、「自分ごと」であることは大前提。

自分で選んだものじゃないと、持続的なやりたいなんて気持ちにはなりません。

でも、自分で選んだものでも、やっぱり波はあるもの。

その際、

難しいことほど、やることを具体的に「いつ」「どこで」やるか決めることが大切で、

簡単なことは、なぜそれをやるのか、やった先にどんな報酬があるのかを考えるとよかったりします。

そして、努力を継続するとき、ドーパミンが鍵を握りますが、うまく働いてもらうためには、やる気ではなく「その気」、

僕はあそこに行くんだ、という思い込み、あそこに行く人だったら今こうするよね、という自覚や覚悟も大切だったりします。

ひとつ大きな波を乗り越えて、レベルが一段階上がった感じがある子たち、これからの成長がまた楽しみです。

僕自身、行動力がない方で、よく先生に「行動しな変わらないよ〜」と言われていたので、その子の行動力を見習わないとです(笑)

ROLAND様かく語りき

こんにちは。

新留です。

ゴールデンウィーク初日。

Twitterを覗いていたら見逃せないニュースが。

プロテインなどを販売するVALXとROLANDさんがコラボし、新しいプロテインを発売するというのです。

サイトを見てみると、好みなシンプルなデザイン、味も「あまおう風味」「カシス&オレンジ風味」とおいしそうではありませんか……値段もめちゃくちゃ安い。

3分後には購入しておりました。ええ。

しかも、3kg(あまおう2kg +カシス&オレンジ1kg)も……

いったい、いつ飲み終わるのでしょうか。

ひょっとしたら、夏頃にはテリーマンのようになっているかもしれません。

ROLANDさんと言えば、

著書『俺か、俺以外か。』のなかで、

「世の中には二種類の男しかいない。俺か、俺以外か」

「この部屋が汚いの? それとも俺が綺麗すぎるから汚く見えるだけ?」

「寝てません。まぶたの裏見てただけです」

などの名言を

Twitterでも

「生きてることが社会奉仕。」

「俺が行けば麻布一番。」

「ローランドは名前じゃない、概念だ。」

などのすばらしい言葉の数々を発していて、いつも素敵だなと見ています。

(YouTubeの『THE ROLAND SHOW』もおもしろいのでぜひ)

そして、出演しているのを見ていると、ROLANDさんといるとき、まわりのひとがすごく笑顔なんですよね。

「ローランドという存在でみんなを幸せにすること」

が使命だと著書にもありましたが、それを有言実行されているのもカッコいいところだなと思います。

さて、

ROLANDさんといると、まわりのひとが幸せそうなのですが、いつも楽しそうにしているひともいるし、いつも楽しくなさそうなひとや、いつも不幸そうなひともいます。

物事を良い方にとらえるひともいれば、悪い方にとらえるひともいます。

どうやってそれが決まるのかなと、昔から不思議だったのですが、どうやら残念ながら、およそ半分くらいは遺伝子的に決まっているようです。

生まれつき幸せになりやすいひとと、なりにくいひとがいるようなのですね。

ば、博打……?

という感じがしますが、残念ながら、そのよう。

逆に、人間関係や金銭状態、健康かどうかなど、どんな環境にいるかが大事な気がしますし、

それらをよくするために日々がんばっているひとも多いと思うのですが、それらが与える影響は「10%」ほどしか関係ないのだそう。

衝撃的な数字ですよね。

ご機嫌でいるのが良い、楽しんだ方が良い、というのは頭ではわかっていても、なかなかうまくいかないとき、遺伝的なものの可能性があるんですね。

かくいう僕自身も、昔、全然うまくいかなくて悩んでいたとき、「楽しもう!」といわれても、なかなかそうは思えませんでした。

(なんだか最近はご機嫌なことが多いですが)

以前、面談でそんなお話を保護者さまにしたところ、

「い、遺伝で決まっちゃうんですか……」

とショックを受けていた保護者さまもいらっしゃいましたが(笑)大丈夫です。

残りの40%は「行動」によって決まるのだそう。

「自分から」「積極的に」いろんなことをやっていくことで、「40%」が効いていくのだそうです。

「40%だけか.…..」と感じられるかもしれませんが、「40%」ってけっこう大きいですよね。

「40%引き」って見ると「安い!」「買う!」となること多いんじゃないかなと思います。

(僕は服や靴なら買っちゃいます)

また、「動く」だけで、幸福度が上がるのもわかっています。

筋トレが流行っていたり、筋トレをやっているひとはポジティブだっていうのもそういうのが関係あったりするんですね。

うちの先生のなかにも筋トレやってポジティブになったって先生がいますが、たしかに見ていてその影響は大きいなと感じます。

「幸せなひと」の方が、

・37%パフォーマンスが高く
・300%(!!)クリエイティブで
・寿命が長く
・友達は多く、結婚率も高く
・収入も高い

のだそう。

もう何度目? というような緊急事態宣言で外出しにくく、心もふさぎがちかもしれませんが、そんなときは意識的に体を動かしていくといいかもしれませんね。

ROLANDさんは出会うひとを笑顔にしながら、ひょっとして日本の生産性やクリエイティビティも上げているのかも知れません。

うーん、偉大。

10万円おじさん

算数の授業のときのこと。

少し前、担当の先生の都合で、代講に入った時がありました。

ちょうどそのときは「売買損益算」という題材

(「ある店が、原価300円で仕入れたケーキを3日間売ることにしました。1日目は、ケーキを70個仕入れ、原価の2割5分の利益を見込んで定価をつけて売ったところ完売しました。1日目の利益は何円ですか。ただし、消費税は考えないものとします」(同志社香里中2018年)というようなもの)

を扱ったときで、本当に必要な分野だと思っているし、社会に出ても役立つと思っている大好きな分野なので、ワクワクしていました。

まずは前の週に習った「原価」「利益」「定価」などの言葉から復習し、実際の値段や例題などを見ながら図を描き、考え方を確認をしていきました。

そして、中学受験の問題などでは出ませんが、

飲食店の原価率はどれくらい、人件費は大体売り上げの何%ぐらいが適正と言われているということや、

商品の定価には、人件費や家賃、光熱費や、いろんな固定費や変動費が含まれているんだよ、みんなが買っているこういう商品は大体原価はこれくらいだけど、そこにいろんな費用が乗っているから定価として表示されているような金額になっているんだよ、というようなリアルな話をしました(笑)

経営や会計の勉強のようですが、こういう話って、リアルなので、子どもたちもすごく興味を持って考えてくれるんですよね。

そのあと、もしみんなならこの考え方を使ってどうする? という話をすると、

「このペンを5万円で売る! そしたら、利益4万9900円ぐらい!」

など、いろんなおもしろい、ふざけた? ようなアイデアが。

「そんなん買うわけないやん!」

など、いろんな話が出て、

おもしろいな〜と思ったので、

「じゃあさ、この紙(教室にあったもの)を10万円でって言ったら買う?」

と質問すると、4年生の女の子から、

「そんなん買うわけないやん〜」

という答えが。

ふふふ。

「じゃあさ、もし、この紙に、〇〇ちゃんの好きなNiziUのメンバーの子が、◯◯ちゃんへ、これからも勉強がんばってね!って書いてくれるとしたら?」

「買う!」

即答でした(笑)

「そうだよね。お金って原価や費用からできる価格もあるけど、価値って側面もあって、例えば、さっきの話だと、そこには、NiziUのメンバーの今までの努力とか、ドラマ性とか、いろんなものがあるけど、価値があれば、価格って上がるんだよね」

というような話をしました。

「売買損益算」という分野自体は、入試に出るか出ないかだけで考えることもあるかもしれないけど、算数は、世の中に出て役立つものに溢れています。

以前、尊敬する経営者の方に、

「経営って、算数みたいなもので、足す、引く、掛ける、割るができたらいけるものなんだよ」

と言われて、「そんなはずは……」と思ったのですが、今では、本当にそうだなと感じることも多いです。

2014 年の Lisa K. Fazio らの研究によって、数字の大小をイメージできたり、どっちが多いか少ないか、大きいか小さいか、がわかることと算数(数学)の成績に関係があるということがわかりました。

算数(数学)の得意な子は、数の大小をイメージできたり、計算を見た目で解くことができるのですね。

たとえば、2 つの分数を見たときにどっちが大きいのか、床に散らばったボールやおはじきを見たときにどの色がいちばん多いのか、などが何となくわかるというのもそう。

いろんな生きた数字、具体的な数や考え方に触れて、算数っておもしろいな、考えるっておもしろいな、もっといろんなことを知りたいなと思ってもらえたらなと思います。

これからも、みんなが、おもしろく、生きた学びに出合えますように。

(いろんな計算のやり方や数字の組み合わせを覚えていこう〜)

苦い思い出

A long time ago in a galaxy far, far away ….

遠い昔、遥かかなたの銀河系でのこと。

ではなく、

それほと遠くないとは思いたいけど数えてみたら20年ほど前だった兵庫県でのこと。

当時、大学生だった僕は気になっている女の子と2人で神戸のメリケンパークに行きました。

そう、デートです。

まだうら若き青年は、緊張しながら少し背伸びをし、

普段は入らないような、夜はお酒を出すような大人な感じのカフェに入り休むことにしました。

そこには、普段行くようなお店に書いてあるコーヒーやカフェオレなどではなく、見慣れない「エスプレッソ」「カフェマキアート」「アフォガード」のような文字が。

その当時はまだ、「エスプレッソ」という飲み物は日本に来たばかりでまだ今ほど一般化していなかったので(というのはうそですが)、何が何だかわからない状態でした。

(何なのだ、これらの飲み物は……)

異世界に突如ワープしたようです。

しかし、そこはカッコをつけなくてはいけません。

レジの上に並んだおしゃれな単語の数々を眺めながら、

「うーん、僕はエスプレッソにしとこうかな」

そう、何が何だかわからないけどコーヒーのことをわかっている感が出そうな響き、

ジェントルマンが頼みそうな響き、

海辺で素敵な女性といっしょにいる男性が発声しそうな響きの「エスプレッソ」という謎の飲み物を頼んだのです。

うん、値段もコーヒーっぽいし。

すると、見たこともない小さなカップが。

(ち、ちっちゃ……!!)

普段飲むような、コーンスープなどを入れることもありそうなカップではない、あまりの小さいカップに、

(これは少食のひと用……?? それとも、試飲用……??)

と戸惑いつつ、知った感じで口をつけます。

(こ、濃い……)

あまりの濃さにシワを寄せ、5歳は老けました。祝・大学卒業。

「エスプレッソ」

その通っぽい響きで頼んだはいいものの、

あまりのカップの小ささに損した感じがし、

あまりの濃さにカップは小さいのに飲み干すのが大変ということになってしまいました。

ああ、若い……。

今となっては笑い話ですが、

こういう、知らないことを知らないって言えなかったことで困ったことになることってよくあります。

勉強でわからないときにわからないって言えないこと。

できなかったのにできなかったって言えないこと。

ちょっと理解があやしいからもう一度説明してほしいときに説明してほしいって言えないこと。

テストや問題を解いたとき、

「ケアレスミスした〜」

という子に、

「それって本当にケアレスミス?」

と聞くことがあります。

「careless」

注意が足りなかったということだったら、

どこをどう間違って、こうすればよかったと説明ができるはず。

説明できないってことは、不注意なミスではなく、わかっていないということなのですよね。

知らないことを知らないということは恥ずかしいことじゃないし、

できないことをできないと認めることは成長の一歩です。

昔、誰かが、

「人は長所で尊敬され、短所で愛される」

と言っていましたが、

尖った部分はどんどん磨いていったらいいし、

へこんだ部分は他の人に助けてもらったらいい。

できないことはダメなことじゃないし、

できないことをできないと認めることができるようになる一歩。

知らないことを知らない。

できないことをできない。

わからないことをわからない。

と言うことで、誰かの助けを借りるきっかけになったり、誰かが自分を助けられるきっかけになるかもしれません。

大昔、僕が知ったかぶりせずに、「エスプレッソって何ですか?」と聞けば、

もっと飲みやすいカフェラテやカプチーノなどをおすすめしてもらえたかもしれないように。

勉強って自分でやらなくてはいけない部分も多いけど、誰かの力を借りることで近道できることも多いです。

いろんな人の協力を受けながら、どんどん力を伸ばしていってもらえたらなと思います。

(キンダークラスの子どもたち。いつも笑顔で元気です^ ^)

ため息でばれる

こんにちは。

新留です。

つい昨日の話。

大学生の時に働いていた個別指導塾でいっしょだった友人から「相談したいことがある」ということでzoomで話をしました。

僕が個別指導塾にいるときによくご飯を食べに行ったり、僕が個別指導をやめて集団塾に移った後もご飯に行ったりしつつ僕のあとの教務リーダーという役割をしてくれたり、

それから数十年たった今も関係が続いていて、大事な結婚式でスピーチを頼んでくれたりと、

東京で働いていたというのもあり、卒業後はそれほど頻繁に会うことはなかったけれど、帰省時や節目のときには連絡をくれる友達です。

現在、彼は奥さんの仕事の関係で海外に住んでいるのですが、子どもの学校を2つのうちどちらにするかで迷っていて相談したいということでした。

ちょうど彼の子どもの年齢の時期に伸びる力や、やり方で大切なことを話しつつ、

彼の家族が描いているビジョン、2つの学校の特徴を聞いたり、まわりからの口コミ、見学をしにいった際のやり方を聞いていると、

「あ〜こっちだな」

というのがありました。

片方の学校の様子を聞いていると、おそらく、そっちの学校だと、親的にはカリキュラムがわかりやすく設定されていたりと、不安を感じることが少なくなるかもしれないけれど、子どものマインドセットには良くない影響があるなと感じたのでした。

でも、主観的になってはいけないので、それぞれの学校のメリット、デメリット、

こっちにいくとこんな風になるだろうし、こっちにいくとこんな風になる可能性が高いですね〜なんて話をしていました。

そのことを伝えると、彼自身も、ちょうど前日、授業の見学に行った時、最初は優勢だった方から、こっちではないと感じていたことがあったらしく、

「やっぱりそうなのですね!」

と納得しているようでした。

というのは、ちょうど前日、教室での授業の様子を見学に行った時、9+4のたし算などをしていたらしいのですが、何度やってもできない子がいて、その際、先生が「は〜〜〜っ」というようなジェスチャーをしているのが見えたのだそう。

これって、先生のちょっとした反応なのですが、子どもには大きな影響を与えかねないのです。

そして、そのちょっとした行動で、先生自身がどういうマインドセットであるかがわかってしまったりするのですね。

マインドセットは子どもの幸福感や成長速度を決めるのですが、

先生やまわりの大人のマインドセットは子どものマインドセットに大きく影響を与えます。

先生やまわりの大人のマインドセットが子どもに及ぼす影響って決して小さくないのですね。

その先生は、

「できないことはダメなことだ」

というマインドセットであり、

子どもができるか、できないか、という視点で見ているのですね。

子どもがどうやったらいいか考えているのを、

「できるようにがんばっている」というプロセスではなく、「できない」という結果で見ているのです。

「できるか、できないか」

もし、まわりの大人がそういう視点でものを見ていると、子どもは「できないことはダメなことだ」と思い込むようになり、考えること、手を動かすことが減っていきます。

できない状態になること、×がつくことを嫌がるよう、怖れるようになり、

「できることしかやらない」

「できないことはやらない」

「できなさそうなことはしない」

「できないことがバレそうになってきたら、興味がない、おもしろくない」

などと言うようになってしまうのです。

何かができるようになるためには必ず通らなくてはいけない継続ができなくなり、

何かをできる自分に気づくための機会に出会うことが減り、

自己効力感、自分はやったらできるという感覚を身につけるための努力をしなくなってしまうのですね。

自分のマインドセットは「できるかできないか」型なのか、

それとも、「できるまでやったらいいし、できるようになるもの」型なのか。

これって大きいのです。

「レッテル」はお守りにもなるし、呪いにもなります。

「よくできたね」は賞賛にもなるし、「君にできるとは思っていなかったよ」という中傷にもなります。

簡単なことをやらせるのは「自分はできないわけじゃない」と気づかせるきっかけにもなるし、「君はそれくらいのレベルの子だ」と伝える合図にもなります。

見せている背中や言葉がけ、ちょっとした仕草。

いいメッセージを発している環境にいたいですね。

海辺のイケメン

こんにちは。

新留です。

先週末のこと。

その日は朝からとても天気がよく、気温も20度前後と最高の散歩日和。

これは海でも見に行くしかないと、大阪北港マリーナに行ってきました。

目の前はヨットハーバーという最高の景色である「ヘミングウェイ大阪」に少しランチの時間をずらした2時に到着。

のんびり休日のランチを楽しむことにしました。

あらかじめネットで検索し目星をつけていた「牛ランプステーキ300g」のランチセットを頼み、最近ではあまり見かけることのないドリンク「スプライト」に心躍らせ、空いている席を探し、ボーっと目の前の海を眺めながら、料理ができた時に呼び出される用のブザーが鳴るのを待ちます。

手渡されたブザーの番号は11番。

オーダーをする時、お客さんの並んでいる数の割にキッチンが小さく、スタッフさんも少ないのが見えていたので、少し待つかもしれないな〜と思いながら待っていたのですが、なかなかブザーは鳴りません。

(けっこう時間がかかっているな……)

と思いつつ、まわりを見渡していると、たくさんのカップルや家族づれ、

「職業クリエイティブ系です」というようなスタイリッシュな格好をした人たちばかりで飲み会をしている団体(パリピ集団と命名)、

プールサイドでなぜか彼女の足をずっとマッサージしている筋肉隆々な男性(てもみんと命名)、

「天才」スラムダンクの桜木のセリフが書かれた派手な赤いTシャツを着ているのになぜか持ってきているのがサッカーボールという中学生ぐらいの子とその家族とお友達など、個性豊かなお客さんが。

勝手にそこにいたお客さんの背景やストーリーを想像し、ご飯ができるまでの時間をつぶしていました。

ですが、なかなかブザーは鳴りません。

天気は良いのですが、少し風が冷たかったので屋内に入り、ソファー席でぐでっとしていると、

となりのソファー席には、東大医学部在学中に司法試験に一発合格したり、英検や数検1級を取得したり、「頭脳王」で優勝したりなどで有名な河野玄斗さんそっくりのイケメンと、その彼女らしき女性が。

その河野玄斗似のイケメンはくるぶしを出したズボンを履いており、「イケメンだけに許されるズボン……」と思って眺めていると、何やら、ソワソワしています。

くるぶしが出ていて寒いわけではなく、どうやら、料理が全然出されず、イライラしているよう。

見ると、ブザーには「6」という数字が書かれています。

「6」なのにまだ待っているんだ……?

「11」ってどうなるの……? ディナー……? 

と一抹の不安がよぎったのですが、特にその後の予定を決めているわけではなかったので、のんびりとまわりを眺めながら、過ごしていました。

その間にも、となりのくるぶしイケメンはイライラ、そわそわ……ついには、キッチンにまでどうなっているのか聞きに行ったようでした。

あの、機嫌が悪いひとが近くにいる時の独特の緊張感のある空気、わかりますでしょうか。左数メートル先に、あの空気が満々に漂っていました。

話も盛り上がっているような感じがありません。

それから数十分待ち、ようやく、となりのカップルのブザーが鳴り、男性が急いで食べ物を取りに行ったのですが、急いで食べ、風のように去って行きました。

待っている間も、食べている間も、彼女はあまり楽しそうではありませんでした。

目の前にはきれいな海。

少し風は冷たいけど、最高の天気というシチュエーションなのに……。

余裕がないばかりに、目の前にあるすばらしいものに気づけなくなっていたのですね。

これって、僕らの普段の生活や仕事でもあることだなと思いました。

ひょっとしたら、くるぶしイケメン君は、その後に、何か大事な用事が詰まっていたのかもしれません。

その後に勝負ディナーを仕込み、ここでの食事はあくまで余興、軽く済ませる予定でお腹を満タンにしていてはいけない計算だったのかもしれません。

くるぶしから冷たい風が入りこみ、風邪を引きそうでしんどかったのかもしれません。

でも、目の前にはきれいな景色やすばらしい環境があり、となりには(おそらく)大事な彼女がいるのに、目の前の料理が出てこないということにイライラしていて、その大事な時間、大事な人との時間を楽しめていないようでした。

何より、いっしょにいる相手が全然楽しそうではありませんでした。

ひょっとしたら、そんな機会は、滅多にあるものではないかもしれないし、ひょっとしたら、一生ないかもしれない時間なのかもしれないのに、その大切な時間を味わえていませんでした。

ただ、料理が出て来ないというだけなのに。

ひょっとしたら、彼は2日間何も食べておらず、空腹すぎたのかもしれませんが……。

まあ僕も空腹のなか料理が出てくるまで1時間待ちましたが……ええ……。

良いところがあまり見えなくなっていたり、悪いところばかりが目につくとき。

それは余裕がなくなっているときなのかもしれません。

僕らの仕事でも、授業中に進めたいカリキュラムや教えたいことはありますが、やらなくちゃいけないことだけにとらわれて余裕がないと、

子どもたちの中からふっと出てきた大事な好奇心や疑問、おもしろい質問を見逃したり、せっかくの学びの機会を逃してしまうかもしれないな。

きちんと余裕をつくって、目の前にある素敵なものに気づけるように生活をしていきたいなと思った出来事でした。

余裕や空白って埋めたくなるものですが、それらって、実はいちばん豊かなものなのかもしれませんね。

(目の前には海とバブリーなプール)

ヨーダ先生かく語りき

先日の高学年の授業中のこと。

「先生〜、やる気が出ないねんけど、どうすればいい?」

という質問がありました。

たとえ受験生だったとしても、自分の受験になっていなくてそんなにやる気がない子もいるだろうし、

しっかり目標があったとしても、疲れていたり、悩み事があったり、花粉症だったりで(睡眠不足になったり睡眠の質が落ちたりと、これはけっこう大きい)、やる気が出ない時もあるでしょう。

勉強はしないとできるようにならないし、してもすぐにできるようにならない時もあります。

受験というのは他の人との競争でもあるので、たとえ勉強をしていても、他の人がもっと勉強していたら、相対的に偏差値などは下がってしまいます。

それによって、余計にやる気が出ない時もあるでしょう。

やらなくちゃいけないとわかっているのにできないのは、なかなかしんどいものです。

その子の質問に対して、

「やる気って待っていたら出てくるものではないんだよ〜」

と言って、脳ってどうなっていて、どういう風にすればやる気が出るのか、脳ってどういう風に学んでいくのか、などの話をしました。

やる気って、体を動かしたり、手を動かしたり、そういえば、こういうことしたかったんだよな、そのためにやるんだよなって思い出したり……

何かをやり始めることで、出てくるものなのですよね。

かくいう、僕自身も、今このブログを、タイマーを起動させ、MacBook Airを開き、メモ帳を開いて何書こうかな〜と思いながら書いています(笑)

さて、これを読んで、

「そっか〜。じゃあ、最近サボっていたあれやってみるか〜」

とぼやっと考えた方。

スター・ウォーズのヨーダ先生の言葉にこんなものがあります。

「Do. Or do not. There is no try.」

(やるかやらないかやで。やってみるとかないねんで)

「やってみる」では弱いのですね(笑)

「やる」、というか、もうスマホを閉じて動き出している、くらいが理想です(笑)

僕と同じように行動力のなさには自信がある方、

・テレビを見る

・ネットを見る

・YouTube動画を見る

・寝転ぶ

・ソファーや椅子にもたれる

・部屋着のままでいる

と逆にやる気がなくなっちゃうので注意してくださいね。

深海魚と呼ばれた子

先日深夜のこと。

オンラインで授業や面談をすることも多くなってきたので、教室用にiPadをもう一つ買い足そうとAppleのホームページを見ていました。

Apple好きな方はご存知かと思いますが、AppleでiPadを買うと自分で考えた名前やメッセージの刻印を入れることができます。

今までは利用したことがなかったのですが、せっかくなので今回は何か入れてみようかと思い立ち、

カッコいい英語の名言を探し、小一時間ほどいろんなサイトを見ていました。

(深夜に何をしているのでしょうか)

すると、スターバックス創業者のハワード・シュルツさんの言葉が。

ハワード・シュルツさんといえば、スターバックスのことを家庭と職場につづく第三の場所、「サードプレイス」と位置づけ、独特の暖かさを持つ場所にしたいと思い、コーヒー以外のものも提供されています。

僕自身も、その考えに感化された1人で、実際、教室を作る際、デザイナーさんに、

「作りたいのはスターバックスのように、子どもたちと保護者さまにとっての家、学校に続く、第三の場所としての教室なんです」

と伝え、学習や子どもたちのコミュニケーションが活性化しやすいのか、風水や空間の環境などを見ていただくだけでなく、イメージなどもスターバックスを意識し作っていきました。

そんな縁があるハワード・シュルツさん。

アメリカのスターバックスではいちばん小さいサイズがトールらしいのですが、その理由が

「店に入って「スモール1つください」とは言いたくないだろ。「トール1つください」の方が良い」

ということなのだそう。

なるほど…かっこいい…と感動したのですが、

はたしてそんな気遣いがスターバックスの人気の秘密になったかどうかはさておき、

言い方で変わることはたくさんあります。

言い方ひとつで、相手が自分のことをどんな風に捉えているかがわかって、うれしくなったり、かなしくなったりもします。

あの時、こういう言い方をすればよかったなって感じることもたくさんですよね。

また、言い方というのはその人の思い込みを示していたりもします。

つい先日、Twitterで「深海魚」という言葉を目にしました。

中学受験などで厳しい勉強と熾烈な争いをクリアし、進学校などに入学することはできたけど、そこで燃え尽きてしまったり、学力以上の学校に入ったのでまわりのレベルについていけなくなったりして、成績が低いところから上がって来れない子のことを「深海魚」と呼ぶそうなのですが、

自分の子どものことを「深海魚」と書いている方がいました。

その言葉自体を知らなかったので、まず、そんな言葉があることにびっくりしたのですが、その言葉の意味を調べ、かなしくなってしまいました。

人ってまわりが見ているようになるのですよね。

教育心理学の「ピグマリオン効果」ではないですが、まわりがその人をどう見ているかで、成長も、サポートの仕方も変わってきます。

「深海魚」

子どものことを学校のレベルについていけない子、そんな風に見ていたらどうなるのか。子どもはそんな風に見られていて(口に出していなくても空気感でわかります)どう感じるのか。

何より、「深海魚」って検索したらわかるのですが、見た目的にかなり……ですよね。

(一部には好きな方もいるかと思うのですが)

大切な子どもをそんな風に見てしまうってかなしいことだなと思いました。

「この子はすごくすばらしい子だし、きっとできるようになる」

そう思えていれば、

今できないことも「まだ、できていないだけ」と思えるようになるし、

「どうやったらできるようになるかな」とアイデアや改善が生まれる余地ができます。

サイコセラピストのエイミー・モーリンさんによると、子どもに度を超えたプレッシャーをかけているかの5つのサインがあるそうです。

①褒めるより批判することの方が多い

②他の子と比べる

③ちょっとしたことを一大事のように言う

例)「ーしたいなら、〜しなくちゃね」

④よく冷静さを失う

⑤子どもの活動を細かく管理する

僕たち先生側も、大切な子どものために、広い視点で見られるだけの余裕をつくっていきたいなと思った出来事でした。