深海魚と呼ばれた子

先日深夜のこと。

オンラインで授業や面談をすることも多くなってきたので、教室用にiPadをもう一つ買い足そうとAppleのホームページを見ていました。

Apple好きな方はご存知かと思いますが、AppleでiPadを買うと自分で考えた名前やメッセージの刻印を入れることができます。

今までは利用したことがなかったのですが、せっかくなので今回は何か入れてみようかと思い立ち、

カッコいい英語の名言を探し、小一時間ほどいろんなサイトを見ていました。

(深夜に何をしているのでしょうか)

すると、スターバックス創業者のハワード・シュルツさんの言葉が。

ハワード・シュルツさんといえば、スターバックスのことを家庭と職場につづく第三の場所、「サードプレイス」と位置づけ、独特の暖かさを持つ場所にしたいと思い、コーヒー以外のものも提供されています。

僕自身も、その考えに感化された1人で、実際、教室を作る際、デザイナーさんに、

「作りたいのはスターバックスのように、子どもたちと保護者さまにとっての家、学校に続く、第三の場所としての教室なんです」

と伝え、学習や子どもたちのコミュニケーションが活性化しやすいのか、風水や空間の環境などを見ていただくだけでなく、イメージなどもスターバックスを意識し作っていきました。

そんな縁があるハワード・シュルツさん。

アメリカのスターバックスではいちばん小さいサイズがトールらしいのですが、その理由が

「店に入って「スモール1つください」とは言いたくないだろ。「トール1つください」の方が良い」

ということなのだそう。

なるほど…かっこいい…と感動したのですが、

はたしてそんな気遣いがスターバックスの人気の秘密になったかどうかはさておき、

言い方で変わることはたくさんあります。

言い方ひとつで、相手が自分のことをどんな風に捉えているかがわかって、うれしくなったり、かなしくなったりもします。

あの時、こういう言い方をすればよかったなって感じることもたくさんですよね。

また、言い方というのはその人の思い込みを示していたりもします。

つい先日、Twitterで「深海魚」という言葉を目にしました。

中学受験などで厳しい勉強と熾烈な争いをクリアし、進学校などに入学することはできたけど、そこで燃え尽きてしまったり、学力以上の学校に入ったのでまわりのレベルについていけなくなったりして、成績が低いところから上がって来れない子のことを「深海魚」と呼ぶそうなのですが、

自分の子どものことを「深海魚」と書いている方がいました。

その言葉自体を知らなかったので、まず、そんな言葉があることにびっくりしたのですが、その言葉の意味を調べ、かなしくなってしまいました。

人ってまわりが見ているようになるのですよね。

教育心理学の「ピグマリオン効果」ではないですが、まわりがその人をどう見ているかで、成長も、サポートの仕方も変わってきます。

「深海魚」

子どものことを学校のレベルについていけない子、そんな風に見ていたらどうなるのか。子どもはそんな風に見られていて(口に出していなくても空気感でわかります)どう感じるのか。

何より、「深海魚」って検索したらわかるのですが、見た目的にかなり……ですよね。

(一部には好きな方もいるかと思うのですが)

大切な子どもをそんな風に見てしまうってかなしいことだなと思いました。

「この子はすごくすばらしい子だし、きっとできるようになる」

そう思えていれば、

今できないことも「まだ、できていないだけ」と思えるようになるし、

「どうやったらできるようになるかな」とアイデアや改善が生まれる余地ができます。

サイコセラピストのエイミー・モーリンさんによると、子どもに度を超えたプレッシャーをかけているかの5つのサインがあるそうです。

①褒めるより批判することの方が多い

②他の子と比べる

③ちょっとしたことを一大事のように言う

例)「ーしたいなら、〜しなくちゃね」

④よく冷静さを失う

⑤子どもの活動を細かく管理する

僕たち先生側も、大切な子どものために、広い視点で見られるだけの余裕をつくっていきたいなと思った出来事でした。