海辺のイケメン

こんにちは。

新留です。

先週末のこと。

その日は朝からとても天気がよく、気温も20度前後と最高の散歩日和。

これは海でも見に行くしかないと、大阪北港マリーナに行ってきました。

目の前はヨットハーバーという最高の景色である「ヘミングウェイ大阪」に少しランチの時間をずらした2時に到着。

のんびり休日のランチを楽しむことにしました。

あらかじめネットで検索し目星をつけていた「牛ランプステーキ300g」のランチセットを頼み、最近ではあまり見かけることのないドリンク「スプライト」に心躍らせ、空いている席を探し、ボーっと目の前の海を眺めながら、料理ができた時に呼び出される用のブザーが鳴るのを待ちます。

手渡されたブザーの番号は11番。

オーダーをする時、お客さんの並んでいる数の割にキッチンが小さく、スタッフさんも少ないのが見えていたので、少し待つかもしれないな〜と思いながら待っていたのですが、なかなかブザーは鳴りません。

(けっこう時間がかかっているな……)

と思いつつ、まわりを見渡していると、たくさんのカップルや家族づれ、

「職業クリエイティブ系です」というようなスタイリッシュな格好をした人たちばかりで飲み会をしている団体(パリピ集団と命名)、

プールサイドでなぜか彼女の足をずっとマッサージしている筋肉隆々な男性(てもみんと命名)、

「天才」スラムダンクの桜木のセリフが書かれた派手な赤いTシャツを着ているのになぜか持ってきているのがサッカーボールという中学生ぐらいの子とその家族とお友達など、個性豊かなお客さんが。

勝手にそこにいたお客さんの背景やストーリーを想像し、ご飯ができるまでの時間をつぶしていました。

ですが、なかなかブザーは鳴りません。

天気は良いのですが、少し風が冷たかったので屋内に入り、ソファー席でぐでっとしていると、

となりのソファー席には、東大医学部在学中に司法試験に一発合格したり、英検や数検1級を取得したり、「頭脳王」で優勝したりなどで有名な河野玄斗さんそっくりのイケメンと、その彼女らしき女性が。

その河野玄斗似のイケメンはくるぶしを出したズボンを履いており、「イケメンだけに許されるズボン……」と思って眺めていると、何やら、ソワソワしています。

くるぶしが出ていて寒いわけではなく、どうやら、料理が全然出されず、イライラしているよう。

見ると、ブザーには「6」という数字が書かれています。

「6」なのにまだ待っているんだ……?

「11」ってどうなるの……? ディナー……? 

と一抹の不安がよぎったのですが、特にその後の予定を決めているわけではなかったので、のんびりとまわりを眺めながら、過ごしていました。

その間にも、となりのくるぶしイケメンはイライラ、そわそわ……ついには、キッチンにまでどうなっているのか聞きに行ったようでした。

あの、機嫌が悪いひとが近くにいる時の独特の緊張感のある空気、わかりますでしょうか。左数メートル先に、あの空気が満々に漂っていました。

話も盛り上がっているような感じがありません。

それから数十分待ち、ようやく、となりのカップルのブザーが鳴り、男性が急いで食べ物を取りに行ったのですが、急いで食べ、風のように去って行きました。

待っている間も、食べている間も、彼女はあまり楽しそうではありませんでした。

目の前にはきれいな海。

少し風は冷たいけど、最高の天気というシチュエーションなのに……。

余裕がないばかりに、目の前にあるすばらしいものに気づけなくなっていたのですね。

これって、僕らの普段の生活や仕事でもあることだなと思いました。

ひょっとしたら、くるぶしイケメン君は、その後に、何か大事な用事が詰まっていたのかもしれません。

その後に勝負ディナーを仕込み、ここでの食事はあくまで余興、軽く済ませる予定でお腹を満タンにしていてはいけない計算だったのかもしれません。

くるぶしから冷たい風が入りこみ、風邪を引きそうでしんどかったのかもしれません。

でも、目の前にはきれいな景色やすばらしい環境があり、となりには(おそらく)大事な彼女がいるのに、目の前の料理が出てこないということにイライラしていて、その大事な時間、大事な人との時間を楽しめていないようでした。

何より、いっしょにいる相手が全然楽しそうではありませんでした。

ひょっとしたら、そんな機会は、滅多にあるものではないかもしれないし、ひょっとしたら、一生ないかもしれない時間なのかもしれないのに、その大切な時間を味わえていませんでした。

ただ、料理が出て来ないというだけなのに。

ひょっとしたら、彼は2日間何も食べておらず、空腹すぎたのかもしれませんが……。

まあ僕も空腹のなか料理が出てくるまで1時間待ちましたが……ええ……。

良いところがあまり見えなくなっていたり、悪いところばかりが目につくとき。

それは余裕がなくなっているときなのかもしれません。

僕らの仕事でも、授業中に進めたいカリキュラムや教えたいことはありますが、やらなくちゃいけないことだけにとらわれて余裕がないと、

子どもたちの中からふっと出てきた大事な好奇心や疑問、おもしろい質問を見逃したり、せっかくの学びの機会を逃してしまうかもしれないな。

きちんと余裕をつくって、目の前にある素敵なものに気づけるように生活をしていきたいなと思った出来事でした。

余裕や空白って埋めたくなるものですが、それらって、実はいちばん豊かなものなのかもしれませんね。

(目の前には海とバブリーなプール)