苦い思い出

A long time ago in a galaxy far, far away ….

遠い昔、遥かかなたの銀河系でのこと。

ではなく、

それほと遠くないとは思いたいけど数えてみたら20年ほど前だった兵庫県でのこと。

当時、大学生だった僕は気になっている女の子と2人で神戸のメリケンパークに行きました。

そう、デートです。

まだうら若き青年は、緊張しながら少し背伸びをし、

普段は入らないような、夜はお酒を出すような大人な感じのカフェに入り休むことにしました。

そこには、普段行くようなお店に書いてあるコーヒーやカフェオレなどではなく、見慣れない「エスプレッソ」「カフェマキアート」「アフォガード」のような文字が。

その当時はまだ、「エスプレッソ」という飲み物は日本に来たばかりでまだ今ほど一般化していなかったので(というのはうそですが)、何が何だかわからない状態でした。

(何なのだ、これらの飲み物は……)

異世界に突如ワープしたようです。

しかし、そこはカッコをつけなくてはいけません。

レジの上に並んだおしゃれな単語の数々を眺めながら、

「うーん、僕はエスプレッソにしとこうかな」

そう、何が何だかわからないけどコーヒーのことをわかっている感が出そうな響き、

ジェントルマンが頼みそうな響き、

海辺で素敵な女性といっしょにいる男性が発声しそうな響きの「エスプレッソ」という謎の飲み物を頼んだのです。

うん、値段もコーヒーっぽいし。

すると、見たこともない小さなカップが。

(ち、ちっちゃ……!!)

普段飲むような、コーンスープなどを入れることもありそうなカップではない、あまりの小さいカップに、

(これは少食のひと用……?? それとも、試飲用……??)

と戸惑いつつ、知った感じで口をつけます。

(こ、濃い……)

あまりの濃さにシワを寄せ、5歳は老けました。祝・大学卒業。

「エスプレッソ」

その通っぽい響きで頼んだはいいものの、

あまりのカップの小ささに損した感じがし、

あまりの濃さにカップは小さいのに飲み干すのが大変ということになってしまいました。

ああ、若い……。

今となっては笑い話ですが、

こういう、知らないことを知らないって言えなかったことで困ったことになることってよくあります。

勉強でわからないときにわからないって言えないこと。

できなかったのにできなかったって言えないこと。

ちょっと理解があやしいからもう一度説明してほしいときに説明してほしいって言えないこと。

テストや問題を解いたとき、

「ケアレスミスした〜」

という子に、

「それって本当にケアレスミス?」

と聞くことがあります。

「careless」

注意が足りなかったということだったら、

どこをどう間違って、こうすればよかったと説明ができるはず。

説明できないってことは、不注意なミスではなく、わかっていないということなのですよね。

知らないことを知らないということは恥ずかしいことじゃないし、

できないことをできないと認めることは成長の一歩です。

昔、誰かが、

「人は長所で尊敬され、短所で愛される」

と言っていましたが、

尖った部分はどんどん磨いていったらいいし、

へこんだ部分は他の人に助けてもらったらいい。

できないことはダメなことじゃないし、

できないことをできないと認めることができるようになる一歩。

知らないことを知らない。

できないことをできない。

わからないことをわからない。

と言うことで、誰かの助けを借りるきっかけになったり、誰かが自分を助けられるきっかけになるかもしれません。

大昔、僕が知ったかぶりせずに、「エスプレッソって何ですか?」と聞けば、

もっと飲みやすいカフェラテやカプチーノなどをおすすめしてもらえたかもしれないように。

勉強って自分でやらなくてはいけない部分も多いけど、誰かの力を借りることで近道できることも多いです。

いろんな人の協力を受けながら、どんどん力を伸ばしていってもらえたらなと思います。

(キンダークラスの子どもたち。いつも笑顔で元気です^ ^)