知識があるから興味が出る

夏休みも終わり、新学期が始まりましたね。

 

子どもたちからは「友達と会えるのうれしい!」という声や「学校つまらん〜しんどい〜」などという声も聞こえています(笑)

昔とちがって、子どもも大人もやらなくてはいけないことは多いですが、本来、新しいことを知ること、できるようになること、「学ぶ」っておもしろいもの。

学ぶおもしろさを思い出し、新しいことに出合ったり、難しいことに出合ったときに楽しめる感性を身につけていってほしいなと思っています。

先日、歴史の授業中にこんなことがありました。

織田信長から豊臣秀吉の時代をへて徳川家康が天下を取る時代、その大事なきっかけとなった関ヶ原の戦いにおける東軍と西軍の配置図を見ながら、

「どっちが有利だと思う?」

「どっちが勝つと思う?」

という話をしていたのですが、5年生の男の子が、

「そういえば、昔はわれこそは〜って名乗ってから戦ってたんやんな〜」

と言い出しました。

鎌倉時代、元が攻めてきたときに、竹崎季長の「蒙古襲来絵詞」の絵を見たりしながら、日本の当時の戦い方である一騎打ちと元の集団戦法のちがい、「てつはう」などの使っていた武器や防具のちがいについて話したのを覚えていたそうなのです。

そこで、これはチャンス!と、

「なんで、その当時、日本ってそんな戦い方してたと思う?名乗るより、いきなり攻撃した方がいいよね?」

と聞いてみました。

「たしかに、何でだろ?」

と考えていました。

じつはこれ、1993年の東京大学の日本史の問題になっているもの。

その当時、鎌倉幕府と御家人というのは、「御恩」と「奉公」という主従関係で結ばれていて、将軍から戦いにおける活躍の恩賞、「御恩」として土地などを与えられていました。「だれの功績なのか」というのを明確にしないと、せっかく活躍しても、「御恩」が受け取れません。ですので、名前を名乗るし、一騎打ちを好んでいたのですね。

そういうことを伝えると、

「おおっ、なるほど〜」

と、つながりが見えたようでした。

きっと、彼のなかで、今回学んだことは忘れないんだろうなと思います。

低学年の子だと、丸暗記のようなものもできたりしますし、実際、幼稚園クラスの子たちを見ていると、驚く速さで言葉や知識を覚えていっています。でも、中学年になると、なかなか丸暗記するということはきびしくなります。

単純なくり返しを「維持リハーサル」、意味を考えたり、関連付けたりすることを「精緻化リハーサル」といいますが、記憶の定着を良くするためには、精緻化リハーサルの方がもちろん効果的。

それに、何より、丸暗記というのは、ほとんどの人にとってはおもしろいものではありませんよね。論理的・数学的知能の強い子だと、とくに、理由や理屈がないものはおもしろくないので、「何でこんなことをやらなくちゃいけないんだろ?」と思ってしまいます。

中学年からは「考える勉強」が大事。

そして、その前には興味や関心の種である知識を蒔く時期があります。

勉強が作業のようなものではなく、考えるという知的な活動、おもしろいものだというふうになっていってもらえたらなと思います。

これからも、ますます、たくさんのことに興味や関心を持ち、探究すること、考えることを楽しんでいってくれますように!

真剣に何かに取り組んでいる姿は尊いですね…