AI時代に必要な学びって?

早いもので今年も残り1ヶ月となりましたね。

ただいま絶賛、冬の面談中の箕面校ですが、このところ、面談をしていても、体験授業に来てくださった保護者さまとお話していても話題になるのが「AI」や「これからの生き方、働き方」のこと。

 

「ウチの子、キッザニアが大好きなんですけど、ここにある仕事って、子どもが大人になっている時ってなくなっている可能性もあるんじゃないかなって思うんですよ…」

「普通の塾でやってるような勉強って、これからの時代に役に立つのかなって疑問に思ってて…」

 

というような疑問や不安を投げかけられています。

 

残念ながら、個人的な意見としては、ほとんどの勉強は役に立たず、仕事もなくなる可能性が高いのかなと思います。それぐらいAIの進化というのは早いのですね。

 

2014年当時、「あと十年は負けない」といわれていた碁の世界。

実際には、その2年後、2016年には、AI、アルファ碁は過去のデータ3000万局を学習し、世界トップレベルの棋士たちを相手に60連勝。その後も独学で進化し、2017年には、世界1位の棋士であった柯潔(かけつ)さんを破り、

 

「人類が数千年にわたり実戦を通じて進化させた囲碁を、人工知能は非常に短い期間にすべての情報を収集分析し、勝つ方法を体得してしまった」

「アルファ碁は碁の神のようだった」

 

と言わせました。

 

さらには、「命にかかわるもの」であり、機械には任せられないと思われていた医療の分野では、AIが2000万件のがんに関わる研究論文を学習し、今では、人間よりも正確な診断ができるようになっています。2016年には、東京大学医科学研究所により、AIが特殊な白血病の診断に成功、それにより治療方針が変更され、早期退院につながりました。しかも、その難しい診断にかかったのはわずか「10分」だそう。

 

身近なところでは、iPhoneのSiriや、Amazon EchoのAlexaの精度が上がり、こちらのいうことを人間より早く、高い実行力で助けてくれるようになっています。

 

「強さ(賢さ)」、「進化スピード」、「速さ」、「正確さ」、「実行力」…もう、ヒトが勝てない分野が多くなってきていて、コストも安く済むため、仕事もどんどん取られていくといっていいでしょう。

 

もちろん、良い点はたくさんあります。いま問題になっている運送業界の人手不足などは、ドローン配達や、早ければ来年には実用化されていく自動運転により負担が軽減されるでしょうし、なんでもスマートフォンで申請、決済ができるようになるので、窓口業務などがなくなっていき、時間が大幅に節約できます。

 

でも、その分、そこに関わっていたひとたちの仕事がなくなってしまうのも事実…とくに、今までの世の中で「安定した職業」といわれるものになるのに重要視されていた「知識を持っていること」、「事務処理能力や作業能力が高いこと」は意味がなくなり、「高学歴」「高収入」の代名詞である「医師」や「弁護士」、「金融関係」などの仕事も、ごく一部の代替できないスキルや技術をもっている専門家でない限りは、AIに取って代わられるでしょう。

 

僕たち親世代の生き方、働き方の常識は平成で終わり、子どもたち世代では非常識になってしまうのですね。

 

話題にもなった、井上智洋さんのよる『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』によると、2045年には「9割の人が失業している可能性もある」そう。

機械は早く、正確に、休みなく、嫌な顔をせずにやってくれるだけでなく、じぶんで気づきも得て進化もしていく…「言われたことを正確に早くやる能力」では勝てないので、「人間にしかできないこと」を磨いていないと満足な収入も得られなくなりそうです。

 

では、どんなことをすればいいのか?

 

前述の井上智洋さんによると、3つの領域の仕事はなくならないそう。

3つとは、

①「クリエイティビティ系(創造性を発揮する仕事)」

②「マネジメント系(経営や管理に関わる仕事)

③「ホスピタリティ系(おもてなしをする仕事)」

 

AIは人間や、過去のデータから学ぶことはできますが、ゼロからイチを生み出すことはまだできていません。

 

人をまとめたり、モチベーションを引き出したりといったこともできません。

 

注文受付や配膳などのサービスはできても、相手の様子を観察し、察し、感動を引き起こすようなおもてなしはまだまだできません。

(飲食店などはロボットが接客する安いお店と、おもてなし力の高い人が接客する高級店に分かれると言われています)

 

完全にAI時代に生きる子どもたちには、それらの変化を見据えた学びをし、未来への準備をしていってもらいたいと思います。

 

機械は「何をやるかが決まっている」状況では圧倒的な強さを見せますが、内からくる動機などはないので、「何をやりたいか」はありません。なので、「何がやりたいか」がはっきりあり、努力できる子だと勝つことができます。「これが好き!」がある子は強いのです。

 

たくさんの世界にふれ、興味をひかれる対象を見つけ、それを深めていく。そのなかで、じぶんの人生の目的や目標を見つけ、それに向かい、ひたむきに努力する。その才能と、ひとを巻き込むだけの魅力がある。そんなひとになる学びが必要なのかなと思います。

 

いまの大人にとっては厳しいかもしれませんが、好奇心いっぱいな子どもたちにとってはおもしろい時代になりそうですね。

子どもたちが、時代の変化を味方につけ、幸せに、豊かになってくれますように^ ^

 

(にいどめ)

大事なことは面倒くさい。面倒くさくてもやらないといけないときの3つの方法

こんにちは。

にいどめです。

 

保護者さまから、

「宿題って、どうやったらやるんですかね…」

というご質問をいただきました。

わかります。子どもの気持ちが非常に強くわかります。

宿題って面倒くさいですよね。

適切な時期に適切な方法で種をまいてあげて、環境を整えておけば、わりと高い確率で植物が芽を出し、花を咲かすように、

子どもの発達段階に合わせた適切な時期に、その子の才能に合った適切な方法で種をまいてあげて、

植物にとっての「水と適切な気温と酸素」のように「栄養やあたたかい雰囲気、声かけ」などの環境を整えておけば、

興味や関心の芽や、才能という花などは、時期が遅い、早いという差はありますが、出てくる確率は高いです。

ただ残念ながら、「適切」といっても、みんな共通の「やる気スイッチ」みたいなものを押す唯一の完璧な方法なんていうのはありません。

そして、さらに残念なことに、興味や関心の芽が出てきて、自発的に本を読んだり、調べたり、作ったりすることはあっても、「宿題や練習をするのが好き」ということにはほとんどなりません。

自分のことを思い出してもわかるかなと思いますが、「宿題をする」というのは最高に面倒くさいものなのですよね。

「勉強っておもしろいな」と思ったとしても、「宿題や練習がおもしろいな」とはまた別物なのです。

練習って基本的に大変だし、つまらないし、面倒くさいものです。

できないことをできるようにするのが練習なので、それはしんどいものでもあります。

(逆に、できるものを、てきとうにこなすのは練習とは言えません)

ましてや、クラブ活動などを思い出したらわかりますが、「やらされる練習」って楽しくないものです。

以前、『プロフェッショナル仕事の流儀』で、ジブリの宮崎駿さんが特集されていたのですが、印象的だったのが、ひたすら、

「面倒くさい」

を連呼していたこと。

あの世界の宮崎駿さんが、

「面倒くさい」

「究極に面倒くさい」

とひたすら言っているのです。

あの「世界の」宮崎駿さんがです(笑)

でも、

「面倒くさかったらやめれば?」

といわれると、

「うるせえな」

って言って、やるって言うんですよね。

「世界の」宮崎駿が「面倒くさい」って言ってるんだから、「日本の、大阪の、箕面の」自分が「面倒くさい」って感じるのは当たり前なのですよね。

でも、「面倒くさい」と「やらない」っていうのは違います。

個人的な話でいうと、僕自身は、「勉強や研究をする時間」と「運動をする時間」というのを「仕事をする時間」とは別に確保していて、それらはやっているけれど、毎日必ずするには面倒くさいものでもあります。

でも、

「もっといい勉強のやり方や、能力を上げるためのもっといい方法はないかな?」「これから世の中はどんな方向に流れていくのだろう?」って思うから、1日1冊は本を読んで勉強や研究をするし、

「もっと、体力つけないとな…」とか「子どもの運動会で足の速いお父さんってかっこいいよな…」なんて思うから、毎日10分の運動をやっていたりします。(あと、運動は脳の成長にも関係しているので、頭のキレを増すために、というのもあります)

「大事なことだから、面倒くさくてもやる」のですね。

「やらない」というのは、じつは本人にとっては「大事なことじゃない」ってことだったりもします。

といっても、親としては、宿題くらいは何とかやらせたいもの…ということで、子どもって、みんなやる気になるポイントは違っていて、

「こうしたら大丈夫」というのはありませんが、「こうした方がいい」という方法はありますので、今日は、そんなコツを3つ書いてみたいと思います。

 

①「自分で」決めさせる

やり方、やる時間、やること、何でもいいので、少しでも「自分で」決めさせましょう。

「内発的動機」といいますが、ひとは自分で決めると、やる確率が上がります。

そして、心理学者のダイアナ・コルドヴァらの研究によると、それは学習内容とは全然関係なくてもよいということがわかっています。

たとえば、宿題をやる時間、やる場所、どれぐらいやるか、どのノートにやるかなど、何でもいいので、「自分で決めさせる」ようにしてください。

「やらなくちゃいけない」というのは「義務」や「役割」なので、楽しくないのですが、「自分で決める」と「約束」になるので、守る確率が上がります。

 

②具体的に、数字を入れて、目に見える形で

指示をするときは、「早くやりなさい」「〜してはダメ」などの精神論や抽象的な言葉ではなく、「◯時までに(△分で)終わらせる」「〜してね」などの具体的な数字や行動で示してあげましょう。「やった、やってない」を目に見える形にするのもいいですね。

「早く」というのは、いつかわかりません。

「〜してはダメ」というのは、やったらダメなことはわかりますが、何をしたらいいのかはわかりません。

女性が男性に「察してよ!」といっても「(いや、わからん…)」となるように、きちんと言葉に出して、具体的に、数字や期限を入れて、伝えてあげてくださいね。

子どもに関しては特に、「具体的に」「目に見える形で」ということが大事です。

あと、ちょっとしたコツとしては、「簡単なもの」「早くやったほうがいいもの」をやるときには、「やったら何をしていいか」などご褒美を決めておくのもいいですね。

逆に、「難しいもの」をやるときには、「細かいステップ」に分けてあげて、いっしょにやってあげるとやりやすくなります。

学校の「時間割表」のように、「やる時間」や「やること」「やる場所」を決めておくのがおすすめです。

言葉だけでは抜けてしまう子も多いですし、子どもとしても、自分でやっているかどうかの確認もできないので視覚化してあげてくださいね。

「忘れ物が多い」なども、口で言うのではなく(言うの疲れますし…)、チェックリストなど「目に見える形」にするといいですね。

最悪、パンツをはき忘れることはないように、ほんとに大事なものなら(あるいは忘れてはダメなものなら)痛い目を見て、次回から修正していくはず。

 

③「こうしたら、こうする」を決める

脳は面倒くさいことは大嫌い。それだけでエネルギーを使ってしまいます。

「何曜日の何時からは塾の宿題をする時間」など、簡単な計画を立てるだけすが、それだけで、行動力はアップします。

社会心理学者のゴリヴィツア—の研究によると、それだけで行動率は「2倍以上」になるそう。

あらかじめ決めておくことで、寝る前には歯磨きをするような「習慣」にしてしまいましょう。

逆の使い方で、保護者さまの中には、「宿題をやらないとご飯を食べさせない」という決まりをつくっておられる方もいます。

脳がエネルギー不足になり、処理能力は落ち、学習の効率が悪くなるのであまりおすすめではありませんが…。

 

以上の3つ、これらはあくまで「確率を上げる方法」ですが、何事もやらないよりやった方がマシ。お困りの方は、ぜひ、試してみてくださいね。

そして、必ず、その子に合った方法があるので、粘り強く、他の子と比べないで、失敗しても大丈夫だからねという言葉といっしょに、少しずつ「できた」という経験を積ませていってあげてくださいね。

みんなの行動力がアップし、「やればできるんだ」という自信と、着実に型を積み重ねた盤石の力がつきますように。

ではでは。

できるとわかっていることはつまらない。「間違えずにできたね」ではなく「がんばったね」が考える習慣をつくる

小学生の頃、まちがい直しをさせられるのがイヤでした。

 

ふつうの公立の小学校のふつうのテスト問題。

 

それほど、むずかしいものではなく、授業をきちんと聞いていて、宿題をこなし、ていねいにやれば、いい点が取れるようなもの。
でも、根っからの「めんどくさがり」な僕は、早く解き終わったあとの余った時間、「もう一度はじめから見直し、間違っていないか確認する」……ようなことはせず、余白の大きなところを見つけては(なければ、机の上に)、絵を描いていたような子どもでした。

 

「一つもミスがないことを目指し、正確に解く」という考えがなく、「めんどくさいから早く終わらせる」ということしか考えていなかった結果、「おしい」、「もったいない」といわれるような点数を取ったことが多かった気がします。

 

不思議なことに、「インターネット」というものさえ存在していなかった僕の小学生時代から、今の子どもたちも、計算や漢字のドリル、プリント学習など、やっていることはあまり変わっていません。テストの後の「まちがい直し」も一緒です。

まちがえた問題のとなりに、赤ペンで、正しい答えを書く。

 

ていねいに。漢字のトメ、ハネもしっかりと。

 

てきとうに書こうものなら、もう一度、やり直し。

 

時には、まちがえたものを何度も練習するためのプリント付き。

 

この「まちがい直し」というものが、もう、本当にイヤだったのですが、僕がイヤだったのは、書くことがめんどくさかったから。

 

やることに「意味」を求めるタイプの子だったので、意図や、やり方を説明されず、ただ書く、ただ何度も解くということが、あまり意味や効果があるようなものには感じられず、やらされることが苦痛以外の何物でもありませんでした。

 

でも、今の子どもたちを見ていると、

 

「まちがえて、めんどくさいことが増えるのがイヤなのではなく、まちがえること自体がイヤなんだな」

 

と感じることがあります。

 

授業中など、自分のまちがった答えや考えたプロセスを残しておかず、それを消して、正しい答えを書いて◯をつけようとする。

 

宿題を出して、やってきてはいるのだけど、あきらかに答えを写している。
(普段どれぐらいの理解度か見ていて、まだまだ手を動かして、間違えて、たくさん考える練習をする時期のような子が、国語の説明文の記述問題で、模範解答としてのっているような完璧な答案を、考えた形跡や書き直した形跡なしに書けていたりするのを見ると、すごーく違和感を感じます。)

 

そういうのを見ると、今はできることが大切じゃないのだけどな……できているのを見ることが嬉しいのじゃないのだけどな……そんなに褒められたいのかな……と切ない気持ちになったりします。

 

「わからないときはわからないっていうんだよ。恥ずかしいことじゃないよ」

 

「×というのは、いままでのじぶんより上にチャレンジしたということだよ。どんどん間違えようね」

 

と、くり返し伝えているのにもかかわらず……なかなかこのクセというのは手強いものです。

 

それに、「まちがえないようなこと」をくり返していても、そこに成長はありません。

 

心理学者のキャロル・S・ドゥエックが行った実験にこんなものがあります。

 

数百人の子どもたちに難しい問題をやらせ、終わった後で、褒め言葉をかけました。

 

一方のグループには「よくできたわね」。もう一方のグループには「がんばったわね」。

 

最初のグループ分けをした時点では成績に差はなかったのですが、その褒めた後に違いが出てきました。

 

次に取り組む問題を選ばせると、「よくできたわね」のグループの子たちは新しい問題にチャレンジするのを避けました。「難しいもの、まちがえて自分の能力が疑われる可能性があるもの」を選ばなかったのです。

 

逆に、「がんばったわね」グループの子たちは、9割が新しい問題にチャレンジする方を選びました。

 

そして、その後、なかなか解けない問題に当たったときにも差が出ました。

 

「よくできたわね」グループの子は解けずに自分の頭が良くないと思うようになったのです。「がんばったわね」グループの子は、自分の頭が悪いとは思わず、ただ努力が足りないと思っただけなのに対し。

 

さらに困ったことは続きます。

 

「よくできたわね」グループの子たちは、一度、難しい問題を経験した後、もう一度、できるレベルのものをやったところ、自分の能力に自信が持てなくなり、「最初よりも成績が落ちてしまった」のです。「がんばったわね」グループの子は難しい問題にチャレンジし続けたことでスキルに磨きがかかり、成績が上がりました。

 

今までより、難しいことにチャレンジするとき、できないのは当たり前。それが、自分の夢だったり、どうしても叶えたいものだったりすると、たくさん失敗するのが当然です。

 

⚪︎×勉強というのは、○は良いこと、×は悪いこと。どちらか。

 

◯だと褒められ、×だとダメ出しされる。それだと、◯だけを求め、「まちがえないこと」と目的にしてしまうようになってしまいます。

 

褒めるということは大事ですが、褒め方も大事。

 

「できたことをほめる」ということは、イコール、「できていないことはダメ」というメッセージにもなり得ます。

 

子どもは、その裏のメッセージに敏感です。

 

「そんなにたくさんのことを知っているなんて、えらいね!」

 

という言葉には「知らないことはよくないこと」という裏のメッセージが、

 

「ひとつも間違えなくて、すごい!」

 

という言葉には、「私はあなたがまちがえなかったことをいいと思っている」という裏のメッセージが込められています。

 

子どもは、その裏のメッセージを感じ取り、うちの親や先生はそこを評価する人なのだと思います。そして、知らないことを言わず、まちがえないようにします。

 

でも、まちがえないようなことをしていては、力はつかないし、何より、退屈なのですね。

 

心理学者のチクセントミハイは、

 

「すばらしい人生、幸福な人生というのは、フローによって、自分がやっていることに没頭することによってつくられる」といいます。

 

「できるかどうか不安」というレベルにチャレンジしているときに、人は「フロー」という状態になりやすくなるのですが、フロー体験をすることで、私たちは「自分なんてどうでもいい」ではなく、自分の人生にたくさんの関心を持つようになり、「無力感」を感じず、自分で自分の人生をコントロールしているという感覚を持ち、「自分はダメだ」ではなく、自分には物事を達成できる力があると感じられるようになります。

 

そして、フロー体験をたくさん経験した子どもたちは、10代の間、自分の才能を活かす活動に熱心に取り組む傾向があるそう。

 

先日、5年生の男の子たちがこんなことをいっていました。

 

「宿題やってみたけど、わからんかったわ……途中までは書いたんやけど……もうちょっと、簡単なんにして!」

 

「ほんま難しかったわ〜RAKUTOでやる問題で簡単な問題って、1問もないよな〜」

 

そんな中、6年生の男の子はこんなことを。

 

「なあ、今日は難しい入試問題とかやる!?」

 

難しいのだけど、その難しさや、もうちょっとでわかりそうという感覚、解けたときの達成感がいいのだそう。

 

「やればできるとわかっていることはつまらない」

 

昔、僕が尊敬する方がいっていた言葉ですが、子どもたちにも、これからの長い人生、こんな風になりたい! こんなことしたい! と希望を持ち、難しいこと、大変なことに出会った時、

 

「むずかしいな〜……これは……やりがいがあるな〜」

 

と感じてもらえるようになってもらえればいいなと思います。

「時間がない!」を卒業するための3つのステップ

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こんにちは。

RAKUTOのにいどめです。

 

最近では、きちんと休みをとり、映画を見たり、小説を読んだり、大好きな温泉に行ったりという時間をとれるようになったのですが、

じつは去年の秋頃までは、

 

「どうして、仕事が終わらないんだろう…」

「どうして、こんなに時間がないんだろう?」

 

と思っていました。

そして、毎日、睡眠時間を削ったり、夜中まで長い時間、仕事をしていたのに、仕事も遅れていて、結果も伴っていませんでした。

休みはきちんとあるのに、休みの日も勝手に出勤し、仕事をしていました。しかし、そこまでしても、いつまでも終わりが来ない…。

よく、お世話になっている先生にも、課題として「時間の使い方を見直し」と言われていました。

 

今までも、「時間管理」や「時間の使い方」、「仕事術」のような本は50冊以上は読み、やっているつもりだったのに、ぜんぜん結果は変わらず…

尊敬する先生たちは、仕事を人並み以上にやられていながら、旅行にも1週間や2週間など行ったり、休みもきっちりととられていて、時間も、お金も、人間的な余裕もあるのに…

なぜ自分は…そこまで仕事ができないのか…!!と落ち込んでもいました。

 

ところが、去年、頭痛が続いたり、体調が思わしくなかったことをきっかけに、

 

このままではいけない…

このままのやり方では、年をとっていったら、ますますしんどくなるだけだ…

 

と思い、本格的に「時間の使い方」を練習し、意識しだしてから2年ぐらいかかりましたが、今年になって、かなりリズムが、余裕ができ、メリハリの効いた時間の使い方ができるようになりました。(大好きな読書の量もかなり増え、温泉にも毎週のように行っています)

 

今回は、そのためにやったことを、心理学や行動科学、脳科学の見地からも解説しながら、書いていきたいと思いますね。

よかったら、参考にしてください。

 

『「時間がない!」を卒業するための3つのステップ』

 

①自分の時間の使い方を知る

②理想の時間の使い方を決める

③集中!集中!集中!

 

まず1つ目は、「自分の時間の使い方を知ること」。

当たり前なのですが、時間って、誰にとっても「24時間」なのですね。

学生時代、僕の数倍賢かった子たちが僕の数倍勉強していたかというと、そんなこともなく、どちらかというと、勉強もクラブも、あまつさえは、恋愛なども(!!)している…。

今でいうと、僕の軽く数十倍は成果を出されている先生が、僕の数十倍働いているわけではないんですよね。

 

自分の、「時間の、脳の使い方が下手」だっただけなのですよね。

 

「時間」って形のないものですが、形のないもの、見えないものは変えようがありません。

ですので、最初に、自分の時間の使い方はどうなっているんだということを見えるようにしないといけません。

 

「家計簿」をつけるようなもので、「なんで月末にこんなにお金が減っているんだろ…??」と思っても、「出費」の記録がないと、どこの予算がオーバーしていたのかわからないですし、来月、どうしたらいいのかということが計画できないのですね。

わからないと「来月は節約しよう!」という精神論になってしまいますし、なんでないのかわからなくて気持ち悪い。

 

お化け屋敷に行って、

 

「この先、前方右下より貞子が出てきます」

 

という表示やナビがれば、心と体の準備ができます。(お化け屋敷としておもしろいかどうかは別として)

わかると、準備ができるんですね。

 

時間の使い方を調べてみるとわかるのですが、かなり「何をしているのか謎」な時間が多かったりします。

 

大人でいうと(最近は子どももですが)「スマホ」に費やしている時間が大きかったりします。

いま、「なんとなく」の時間のほとんどがスマホにとられているんですね。

調査によると、なんと、平均的な人が、1日にスマホをチェックする回数は110回だそう。。。

一度、注意がそれると戻るのに時間がかかりますので、「ぜんぜんやるべき時間にやるべきことに集中していない」ということがわかったりします。

 

 

②理想の時間の使い方を決める

 

現状がわかったら、「固定されている時間」や「睡眠時間」を埋めていきます。

子どもだと、「学校に行っている時間」や「必要な睡眠時間」があるので、それらを埋めていきます。

 

脳のためにも睡眠時間は絶対に削らないようにしてくださいね。

子どもは、脳と体の成長のためにも8時間ぐらいは欲しいところです。

 

そして、「子どもがどうなりたいのか」、「家族でどうなっていきたいのか」に合わせ、残っている時間を割り振っていきます。

 

「旅行のプランを練る」ようなものなので楽しい時間です。

移動時間やホテルにいる時間を除いた残っている時間を、「自分の理想」や「なりたいもの」に合わせ埋めていく。

 

おいしいものを食べることが好きなら、おいしい店がある場所をたくさんまわれるように計画を立てる。

買い物が好きなら、ショッピングモールをまわれるように計画を立てる。

旅行って、3泊4日など、「時間の制限」があるから楽しいんですね。

クリスマスプレゼントも、「年に一度」だからワクワクするんです。

365日旅に出られる時間と財力があれば…毎日がクリスマスなら…なんて妄想をしちゃいそうになりますが、

おそらく、旅は1ヶ月くらいで飽き、毎日がクリスマスプレゼントなら、欲しいものも尽き、欲しいものを考えることが苦痛になり、サンタさんには労働基準法を守っていないブラックバイト(?)だと、訴えられるでしょう。

 

「何も制限がない、自由なことがクリエイティブなことだ」という誤解がありますが、

制限があるから、反対に、自由を感じられ、発想もわき、クリエイティブになれます。制限の中で試行錯誤する中で、力も、自制心などの心も鍛えられます。

 

「自制心は筋肉のようなもの」と言われていますが、制限をかけず、何でも子どもの自由にさせていると、「自制心」が弱ってくるので注意です。

 

「自分のなりたいもの」に合わせた「時間割」をつくっていくのですが、

この「理想の時間の使い方」にはコツがあります。それは、「自分のタイプ」や「エネルギー」「処理能力」を考慮してつくること。

 

「朝型や夜型」

「ショートスリーパーやロングスリーパー」

「自分の部屋の方が集中できるか、カフェや図書館などの公共の場所の方が集中できるのか」に合わせて、計画することが大事です。

そして、自分の「調子のいい時間帯」というのがあります。

 

子どもですと、学校から帰ってきた後は、疲れているので、帰宅後すぐに勉強をする、などはなかなか厳しいです。処理能力もかなり落ちています。

ですので、「まだ疲れていない朝」にその時間を取るか、「仮眠をとってやるか」を決める。

 

「夜型」の僕にとっては「朝活」というのは地獄なように、その子にとってベストな時間と場所というのがあります。それを考慮し、「いつ、どこで、どのように、なにをするか」の具体的な計画を決めます。

 

(この記事も、「月曜日」「神戸のスターバックスで」「1セット45分のリズムで」「大橋トリオのベストアルバムを聴きながら」つくっています)

 

行動科学では、この具体的な計画のことを「実行意図」というのですが、

人間というのは、心理的に、一度決めたことは、守りやすくなっています。

(「おれは海賊王になる!」と大きな声で言ってしまったら、途中で「もういいかな」と思っても、なかなか辞めにくいです)

 

また、人間は「できるだけ考えない」ようにできていて、考えることはたくさんのエネルギーを使います。あらかじめ決めておくことで、「脳のエネルギーのムダな消費」を防げるのですね。

 

先延ばしとモチベーション研究の第一人者、ピアーズ・スティール教授によると、

エネルギーを補充し、賢く使うためには、

 

・午前中や、お昼前後の時間に、難しい課題を行う

・空腹にならないようにする

・規則正しい睡眠をとる。そのため、就寝前の行動を決めておき、同じ時間にベッドに入る

・週に何日かは身体を動かす

 

ことなどが大事だそう。

自分の目的や理想に合わせ、自分のタイプやエネルギーに合わせ、計画してみてくださいね。

 

 

③集中!集中!集中!

 

大事なのは「シンプルタスク」。

「一度にひとつのことをする」です。

 

「時間がない」「忙しい」というのが口ぐせの子は基本的に集中していません。

算数の授業中に、理科のことを考えていたり、明日あれイヤだな〜なんて考えていたり、残り時間何分かな、なんて考えていたり、言ったりします。

 

カリフォルニア大学の研究によると、注意は、3分に1度それるそう。

「マルチタスクができる」、「マルチタスクが得意」という子もたまにいますが、残念ながら、スタンフォード大学の最近の研究によると、自称「マルチタスカー」は、関係のない刺激にも影響されやすく、タスクの切り替えにも時間がかかるそう。

また、ユタ大学の研究でも、「強力なマルチタスカー」と自称している人たちは、「もっとも能力の低いマルチタスカー」「注意力散漫」だったそう。

 

「マルチタスク」ということは「一つのことに集中していない」なのですね。

 

僕のまわりの学校の成績の良かった人たちにインタビューをしてみたところ、学校にいる時間は、しっかり学校でやることをやっていたそう。

「宿題などは学校の間に済ませていた」

「あとでテスト勉強をやるのがイヤだから授業中はしっかりメモを取りながら話を聞いていた」

と言うんですね。

 

「か、賢い…!!」

 

と感動したのですが、無意識に、脳にとって最適なことをしていたのですね。

授業中、ぼけーっと窓の外を見ていた僕とは大違いです。

 

大切なのは「シンプルタスク」。

そのために、

集中し、関係ないことを忘れるために「いらない情報を出す」、

集中を途切れさせないように「いらない情報を入れない」ようにすることが大事です。

 

やることがたくさんあるなら、一度、書き出してリストをつくり、見えないところにしまう。

ちがう教科の本はしまう。

パソコン画面やスマホ画面は見えないようにする。

制限をつけるため、タイマーをかけ、一気にやる。

 

 

そうすることで、「時間の質」を高めることができるんですね。

 

 

ちょっとしたことで、時間はつくれますし、かかる時間を減らすこともできます。充実した時間を増やすこともできます。

最初は、ちょっと慣れるまで練習がいるかもしれませんが(僕は2年近くもかかりました)、段々とうまくなってきます。やってみてくださいね。

 

子どもたちが勉強も、遊びも、自分のやりたいことも全部たのしめるように、

そして、保護者さまが、子どもの夢を応援しながら、自分の時間も大切にし、ゆとりを持ち、やさしくなれますように。

この知識が参考になれば幸いです。

 

最後まで、お読みいただきありがとうございました^ ^

 

(新留裕介)

粘り強い子になる!3つの育て方

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こんにちは。

RAKUTOのにいどめです。

 

面談や送り迎えのちょっとした時など、保護者さまに、

「先生、うちの子ほんとメンタルが弱すぎて…どうしたらいいでしょう?」

と聞かれます(とくに一人っ子の男の子が多いです)。

一人っ子の男の子ではありませんが、わりとすぐにあきらめがちな僕は、

「男の子って…そうですよね(ニコッ)」

と返すようにしているのですが、トレーニングの甲斐あり、以前よりは、多少マシになってきているかなとは思います(おそらく)。

「粘り強さ」や「忍耐力」というのは鍛えられるのですね。

そこで、今回は、『粘り強い子になる!3つの育て方』としてまとめてみました。

 

「ダイエット」「失敗」などの言葉に、ドキッとする方には、

少し耳の痛い話があるかもしれませんが(先に謝っておきますね。ごめんなさいm(_ _)m)

よかったら、参考にしてみてくださいね^ ^

 

 

「粘り強さ」「忍耐力」「意志力」「夢を叶える力」…

いろんな言い方があるかと思いますが、どれも、自分のやりたいことをやっていくために非常に大切な力です。

 

どんなに好奇心やセンスがあっても、すぐにあきらめていては芽は出ません。

何かを始めて、最初はスルスルと成長していたとしても、どこかで必ず成長スピードは鈍り、なかなか成長を感じられないしんどい時期が来ます。

どんなに素敵な夢を思い描いていても、行動が伴わなければ、何も現実にはなりません。

 

大事なのは「続けられるかどうか」なのですね。

 

「粘り強さ」や「忍耐力」「意志力」「夢を叶える力」というと、漠然としているので、ここでは、3つの力に分けてみます。

 

①やる力

②やらない力

③描く力

 

これらを意識して鍛えることで、「粘り強さ」や「忍耐力」がつき、目標達成力というようなものも身についていきます。

 

①「やる力」を鍛える

 

1つ目は「やる力」です。

これは、何かを決めたら、そこに集中することができる力です。

先延ばしや言い訳をせずに、しっかりと目標にとって必要なこと、やるべきことをやっていく力ですね。

 

これを鍛えるには、「毎日やることを決める」「ルーティンを決めて守る」ことが効きます。

その際のポイントは、「きちんとやることを明文化、数値化する」こと。

 

料理で考えるといいのですが、献立のようなものがあり、その分量の通りにつくるから、ちょっと薄い、ちょっと辛いと感じた時に、次回、分量を変えて調整したりすることができます。

 

明文化、数値化し、「基準をつくる」から、できた、できなかったのチェックや傾向の記録、分析ができるようになります。

それがないと、「なんとなく」やった、やっていない、できた、できていない、になってしまうのですね。

 

社会心理学の調査で、

「ダイエットするには、自分の体重をきちんと知って記録すればいい」

というのがあるのですが(これを利用した『レコーディング・ダイエット』というのが、むかし流行りましたね)、なるほどと思い、

 

「気心の知れたダイエットに失敗し続けている友人女性」の何人かに、あ〜なんかダイエット諦めてきた気がするなと感じた時に、失礼を承知で「体重測ってる?」と聞いてみました。

 

すると、おもしろいことに、

 

「最近、体重計に乗っていない」と言ったり、

「体重計を隠して視野に入らない」ようにしていたり、

「体重計の電池が切れている」などと言い出したりしたのですね。

 

「なるほど、社会心理学すごい…!!」

 

とエビデンスとしては少ないですが、納得と思った出来事なのですが、「数字を知る」というのは大事なのですね。

なお、この「体重測ってる?」調査ですが、もれなく、「嫌われる」という特典が付いてきたことはここに書いておきたいと思います。

 

「毎日やることを決める」「ルーティンを決めて守る」

これらは、勉強以外の生活習慣でも決めておくと自然と鍛えられます。

 

僕自身も現在いくつかやっていること、

「くつを揃える」

「毎日トイレ掃除をする」

「朝と夜にストレッチをする」

「1日1冊本を読む」

「1週間に2000字のアウトプットをする」

などがあるのですが、

 

「ちょっとめんどくさいけど、意識してやればできる」というレベルが設定のポイントです。

 

「意志力は筋肉のようなものである」

 

とは心理学者のロイ・バウマイスターさんの至言ですが、

「ちょっとがんばればいける」ということを決めて、続けることで、お子さまの「やる力」は筋肉のように鍛えられます。

 

 

②「やらない力」を鍛える

 

「やらない力」は「自制心」や「大事なことを優先する力」と言い換えることもできます。

 

これらも、「やる力」とは逆、「やらないことを決める」「ルーティンを決めて守る」で鍛えられます。

その際のポイントは、同じく、「きちんとやらないことを明文化、数値化する」こと。

 

「やらない力」を鍛えることで、「やる力」もアップします。

 

また、個人的な話ですが、

1年以上前に、いろんなアスリートの本や栄養の本を読んでいて、思い立ち、

「パンを食べない」

ということに決めました。

 

現在のRAKUTO箕面校の1階には、美味しいパン屋さんがあり、

店長さんに会うたびに「どめさん(そう呼ばれています)、最近、来てくれないじゃないですか〜」と言われるのですが、

パン屋さんを前に「パン食べないようにしてるんですよ」とは言えず、笑顔で「みんなに言っておきますね〜」と言い、心の中で「ごめんなさい…」と唱えております。

 

ただし、「やらないこと」は制限しすぎるとしんどくなってしまうので、「ほどほど」にすることが大事かなと思います。

 

僕も、

「近所の美味しいパスタ屋さんのセットで出てくるバケットはオッケー」

などというゆるゆるな設定にしています。

 

子どもたちには、簡単にできることとしては、勉強をする時は「タイマー」をセットし、

「いまやること、いまはやらないことを決める」、「いまやること以外のもの」や「気の散るもの」を視界に入らないところに「隠す」ということをするように言っています。

 

お菓子を引き出しの中に入れておくだけで、机の上に置いておいたときよりも消費量が「3分の1」になったという結果もあるそう。

 

ぜひ、「ちょっと難しいこと」「ちょっといつもやっていることとちがうこと」など、「やらない力」を鍛えるためにやってみてくださいね。

 

 

③「描く力」を取り戻す

 

「夢見る力は夢を叶える力」だと思っているのですが、

こうなりたいという「目的」を持つことで、ラクな方や、一時的な快楽などに流されそうな時に、スッと元の道に戻って来られたり、苦しい時にあきらめない力が身につきます。

 

またまた、個人的な話になりますが、

高校生のときに「塾の先生」になろうと決めました。

家と学校につづく「第3の場所」としての塾や、そこにいた先生たちがすごく好きで、僕もこんな場所をつくりたいな、こんな人たちになりたいなと思ったのがきっかけです。

 

ですが、一つ、大きな問題があったのですね。

 

「ものすごい人見知り」

 

だったのです。

恥ずかしかったり、人目を気にしすぎて、全然話しをすること(とくに女性と)ができなかったのです。

そんなことでは、保護者さまとお話しできません。その恥ずかしがりやっぷりでは、子どもたちの前に立って授業をすることも危うい…。

 

しかし、塾の先生になることは決めています。

そこで、3つの段階に分け、一つひとつクリアしていこうと決めました。

 

1段階目「人に慣れる」

2段階目「サービスについて学ぶ」

3段階目「自分の理想の場所をつくる」

 

まずは、1段階目、人に慣れなきゃ始まりません。

そこで、塾で教える前、人に慣れる練習として「1年、スーパーで働こう」と決めました。

それも、スーパーの品出しだと、人と面と向かい合わなくていい、冷蔵庫の方を見ておけばいい、夜だと人もそんな来ないだろうと考えました。まだ、レジ打ちさんなどに比べるとハードルが低そうに感じたのですね。

それも、あまり知っている人の来なそうなスーパーという念の入りようです。

なぜか、同じスーパーのおばちゃんたちに可愛がってもらえたのがいい思い出です。

 

2段階目「サービスについて学ぶ」

 

次に考えたのが「サービスについて学ぶこと」。

塾で子どもたちに教えるだけでなく、将来、自分の場をつくることを考え、きちんとサービスについて学ばないといけないなと思っていました。

 

1段階目の「スーパーで人に慣れる」の時期をクリアしたあと、思ってもいなかった素敵なご縁というギフトも得た僕は、ようやく塾で教えることをスタート。

 

と同時に、サービスを学ぶため、最初はホテル(まずはいろんなひとを知るため)、その次、フレンチレストラン(きちんとしたサービスを学ぶため)と期間を決めて働きました。

かなり肉体的にもしんどかった時期ですが、人にはすっかり慣れ、さらに、すばらしい先輩や友人と出会えるという機会に恵まれました。

 

3段階目「自分の理想の場所をつくる」

 

段階を経ていると、ありがたいことに、ご縁で、いまのRAKUTOをやるというチャンスをいただきました。

ここまで来ると、ほとんど奇跡。そして、今になっています。

 

長くなりましたが、「塾の先生になりたい」という「目的」を持つことで、苦しくて諦めそうになるときも「全部そこにつながっている」と思い続けられました。

 

僕自身は、本当にやりたいことをやれるようになりまで10年かかりましたが、子どもたちには、もっと早く、何か自分のやりたいことを見つけ、どんどん夢を叶えていってもらえたらなと思っています。

 

まずは、

「やることを1つ決める」

「やらないことを1つ決める」

(明文化、数値化をお忘れなく^ ^)

「できたかできなかったかを記録」、

習慣になると言われている「21日間続けてみる」

(記録が途絶えても、気にせず、再チャレンジです^ ^)

 

よかったら、やってみてくださいね。

子どもたちが今のすばらしいまま成長し、イキイキした瞳の大人になってくれますように。

 

(新留裕介)

スタンフォードに学ぶ!子どものやればできるマインドを育てる3つのポイント

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こんにちは。RAKUTOのにいどめです。

もうすぐハロウィンですね。

RAKUTO箕面校では、今週からハロウィンウィーク。

子どもたちが毎日、思い思いの仮装をしながらやって来てくれています。

1週間前から準備をし、そんなにたのしみにしていたの!?というくらい喜んでくれている子もいてうれしいばかりです。

教室の壁の一部を、ウォールアートとして自由に飾りつけしていいよ〜と言ったところ、そのために早く来る子や、予想外に男の子もハマっていて、みんなおもしろいな〜とほっこりさせてもらっています。

 

さて、いま、教育界では「GRIT(やり抜く力)」ブーム。

今まで称えられてきた「IQ」より、将来的な成長と成功において大事な才能は、「続けられる才能」だということが、ようやく広まってきました。

とはいえ、子どもたちに、

「将来、何かの世界でプロと言われるものになるのに必要なものって、『才能』と『努力』どっちだと思う?」

と聞いても「才能!」と返ってくることも多く、

失敗したときに、「才能ないねん…」という言葉が聞かれることからも、まだまだ伝えられていないなと感じます。

 

そこで、今回は「スタンフォードに学ぶ!子どものやればできるマインドを育てる3つのポイント」としてまとめてみました。よかったら参考にしてくださいね。

 

【1:親がお手本になる】

同じ失敗をしても「あそこがよくなかったな」と感じる子と「自分はダメだ、これは苦手だ」と感じる子がいます。

「世の中はこういうものだ」という考え方をマインドセットと言いますが、これには2種類あると言われています。

一つは、「人は変わることができる」と考え、大切なのは「自分が成長するかどうか」。努力をいとわない「成長型のマインドセット」。

もう一つは、「人は基本的に変わらないし、大切なのは人からの評価」。結果にこだわりすぎ努力嫌い(努力するのは才能がないからと思うため)。プレッシャーに弱く、人にも批判的な「固定型のマインドセット」。

ホップクラスで1年ほどすると、子どもたちから、チャレンジする姿や、「間違えてもいいんだよ」という他の子への声かけがよく見られますが、このマインドセットの違いはどのようにして作られていくのか?

 

RAKUTO箕面校の保護者さまの中ではおなじみ、これまでにも何度も登場していただいているスタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエックさんによると、それは、その人が今までにどのような経験をしてきたか、そして、周囲の人、とくに親や教師など、「権威」としての存在である大人が、どのような反応をしてきたかによって決まるそうです。

 

心理学者のバンデューラさんは、子どもには「観察学習」という特性があり、モデルの行動を見るだけでその行動を学習してしまうということを指摘しています。

 

親というのは子どもにとっての「レンズ」のようなものなのですね。

親が「チャレンジすることが大事」「世界は安全で豊かなところだ」「おもしろいところだ」と見ているか、

「失敗しないことが大事」「世界は危険がいっぱいなところだ」「つまらないところだ」と見ているか。そのレンズを子どもも受け継いでいきます。

どんなレンズをつけているでしょうか?

 

【2:すぐれた先生につく】

「お前は果たしてそうなのか?」といきなり自分たちの首をしめていますが(笑)、発達心理学のエリクソンの説では6歳〜12歳は「やればできる」という体験をして「勤勉性」を学ぶ時期になり、学校や近隣にいるひとの影響を強く受ける時期とされています。学校や塾の先生、家族以外で近い存在が果たす役割が大切。

先生やまわりの大人がどんなことを言っているのか、しているのかを見ているのですね。

 

先生というのは、カメラマンのような存在ではないかなと思います。

一流のカメラマンはモデルの魅力を引き出し「私って、こんなにきれいだったんだ!」と気づかせてくれる。その子の最大限の可能性や、思ってもいなかった一面をを見せてくれる。

 

スタンフォード大学といえば、2016年世界大学ランキングで3位(東京大学は39位)、毎年のようにベスト3入りの名門大学ですが、そこに入ってくるのは小さい頃から「才能がある」「君はみんなとは違う」と言われてきた子(「固定型マインドセット」の子)が多いそう。

スタンフォードのような大学に入るまでは、それでよかったかもしれない。

(そうでないと、それだけの成績は取れません)

でも、大学のその先、長い未来の可能性をより引き出すには「固定型のマインドセット」というのはチャレンジや成長の足かせになります。

そこで、先生たちは最初のオリエンテーションで、

「挑戦や失敗は学びのプロセスだ。失敗はスタンフォードの学生でも普通のことだ」

と言うのだそう。

世界の起業家の集まるシリコンバレーの近くに位置するということからも、「前向きな失敗」「経験から学ぶ」「リスクをとる」ことの大事さを伝えられるのですね。

 

ドゥエック教授によると、すぐれた教師というのは、

「知力や才能は伸ばせると信じており、学ぶプロセスを大切にし」

「できる生徒に対してだけでなく、すべての生徒に対して高い基準を設け」

「温かくて度量の大きなひと」なのだそう。

 

「そのままでいい」と、努力しないでいいということを間接的に伝えたり、基準を下げたりするのは、効果がないとおっしゃっています。

僕自身、自らハードルをあげていますが、大丈夫でしょうか…。

 

【3:ほめ方を変える】

「よくがんばったね!すばらしい!」

「今回はうまくいかなかったね。どうやったら次にうまくいくか考えてみよう」

「よくできたね!もう少しうまくできると思ったところはある?」

「これは難しいね。すぐにできなくても気にしなくていいよ」

「もうちょっとがんばってみようか。一緒にやればできるよ」

これらは成長型マインドセットを育てるほめ方と言われています。

一方、

「才能があるね!すばらしい!」

「才能があるから次はきっとうまくいくよ」

「よくできたね!すばらしい!」

「これは難しいね。できなくても気にしなくていいよ」

「向いてないのかもしれないね。君には他にできることがあるからいいよ」

などは似ていますが、固定型マインドセットを育んでしまうほめ方と言われています。

ちがいは、「特性ではなく、努力」、「変わるものをほめているか」。

「やったこと、変化」をほめることが大切です。

 

ほめるというのは、素敵なパートナーを持つようなものです。

ほめ上手なパートナーは、「見た目最高!」ではなく「あれ?髪型変えた?すごく似合ってるね!」など、がんばったところや、変わったところを見つけてくれ気持ちを上げてくれます。(僕も見習っていきたいと思います)

 

注意しなくてはいけないのは、「早くできたね!」や「間違えなかったね!」というようなほめ方。

これらは、「私はスピードを評価する」「私は完璧であることを評価する」というメッセージを相手に伝えていて、「丁寧さ」や、成長するためには欠かせない「チャレンジ精神」を損ねる危険があります。

何気なく、使っていて、ちがうメッセージが伝わっていることってよくありますよね。

もちろん、そんなときも、自分を責めるのではなく、「きちんと気づけるようになった」「まだできていないだけ」と許してあげることをお忘れなく^ ^

上記のようなほめ方、よかったら、お家で練習してみてくださいね。

 

以上、「スタンフォードに学ぶ!子どものやればできるマインドを育てる3つのポイント」としてまとめてみました。参考になれば幸いです。

ほめ上手なひとが増え、笑顔がたくさんあふれますように^ ^

 

(新留裕介)

 

どうして地理を勉強するの?と聞かれたらこう答えるだろうなということをお話仕立てで書いてみました。

「先生、地図持ってきたで〜」

「先生、あれ(地理)まだやらへんの?」

と僕自身は昔大嫌い、だったのに今は好きになり、子どもたちにもなかなか人気の地理。

地理って、ほんとに社会に出て役に立つ学問だと思います。

大人になった今だから感じる「どうして地理を勉強するの?」ということをお話仕立てで書いてみました。

よかったら、参考にしてみてくださいね。

(にいどめ)

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***************

 

昔々あるところに一人のかわいい男の子が……

訂正。

今から24年前、兵庫県の尼崎市(あまがさきし)に、動物占いは「人間味あふれるたぬき」の一人の男の子がいました。

 

男の子は、ご多分にもれず勉強が嫌いで、「どうして勉強をするの?」、「学校でやる勉強なんて、大人になって役に立たないじゃん」という誰もが一度は考えたことのある疑問を盾に勉強から逃げていました。

 

連休明け、

いつもより多めに出された宿題をやってこなかった男の子、ゆうすけ君は学校に残り、宿題をやる羽目に。

 

(どうして、こんなことやらないといけないのかな?)

(ぼくは、もっとおもしろい勉強がしたいんだよ)

そんなことをつらつらと考えながら窓の外を見ていると、教室のドアを開ける音が。

そこには、見たことのないスラッとしたメガネの男のひとがいました。

 

(こんなひと、この学校にいたかな……?)

 

そう思っていると、そのスラッとしたメガネの男のひとは、まるで子どものような屈託のない笑顔で、

 

「ゆうすけ君、宿題やってこなかったみたいだね〜」

と言ってきました。

 

「う……ん……そうだけど」

 

(何でそんなこと知っているんだろう? 先生なのかな?)

 

ぼくがそう思っているのを知ってかしらずか、

「僕は先生だよ。ゆうすけ君は僕のことを見たことはないかもしれないけどね」

「そうだったんだ」

「でも、僕はゆうすけ君のことをよく知ってるよ。勉強が嫌いなんだよね?」

 

(なんか、すごい話しやすそうなひとだな〜はじめて会ったのじゃないみたいだ)

 

「ん……嫌いってわけじゃないと思うんだけどね、何でやるのかがわかんないんだ」

 

その男のひと、『自称・先生』は、責めてるというわけではなく、ただ、純粋に、目の前の子の言っていることを聞きたいという感じで、顔をちょっと斜めにしながら耳を傾け、ふむふむと頷いています。

 

「なるほどね。ところで、ゆうすけ君はお寿司は好きかな?」

 

(なんで、いきなりお寿司??)

 

「あっ、なんでお寿司って思ったでしょ? まあまあ、気にしないで。ゆうすけ君はお寿司が好きかなって聞いてるだけだから」

「……うん、好きだよ。たまごとタコが好きなんだ」

「そうか、僕と一緒だね。たとえば、ゆうすけ君が、お寿司がこれからもずっと好きで、将来、お寿司屋さんになりたいと思ったとしよう」

「うーん、お寿司は食べる専門でいいかな〜」

「……た と え ば ね。そして、高校を卒業し、大学は、うーん、行かないことにして、どこかのお寿司屋さんで何年も修行をし、よし、これから自分のお店をつくろうと思ったとしよう」

「守・破・離の『破』だね!」

「……難しい言葉を知っているね。そのとき、ゆうすけ君だったらどこにお店をつくるかな?」

「うーん、駅前の繁華街の一等地かな!」

「……何だか、ゆうすけ君は難しい言葉を知っているし、バブルな雰囲気がすごいね。じゃあ、駅前の繁華街の一等地にお店をつくるとしよう。そういうところは家賃が高いよね、きっと。お寿司の値段はいくらぐらいにする?」

「おまかせのコースのみで2万円からかな! 高い方がいいっていうひともいるからね!」

困惑した表情の先生とは対照的に、ゆうすけ君の顔がだんだんと明るくなってきます。

「……なんだか、人間の心理をよくわかってるね……。うん、そんなひともいるよね。じゃあ、駅前の繁華街の一等地で2万円からのお店を出すとしよう。でも、歩いて10分のところにある武庫之荘(「むこのそう」と読む。阪急電車神戸線にある駅のひとつ)の駅前で2万円からのお寿司を出すお店を出して、たくさんのひとが来てくれるかな?」

「うーん、ちょっときびしいかも……」

「そうだよね。武庫之荘って、閑静な住宅街で、ひともたくさん住んでいるし、なかなか良いところって言われているけど、たぶん、駅前のお寿司屋さんに2万円を出すひとはあまりいないと思うんだ」

「言われてみれば、たしかに……王将とかは、たくさんひとがいるけどね! ぼく、王将の餃子が好きなんだ!」

ゆうすけ君は難しいクイズに出会ったときのように真剣で、ワクワクした表情です。

「それじゃ、自分の夢だったお店をせっかく出してしまっても潰れてしまうよね。じゃあ、『どこに』、『どんなお店』を出したら『たくさんのひとに喜んでもらえるか』、それって、ゆうすけ君の嫌いな社会、『地理』でやっていることとほとんど同じなんだよ」

「えっ! どういうこと?」

「たとえばね、地理の勉強をはじめると、最初に、どこに山があるのか、川があるのか、平野があるのか、『地形』って言われるものだね。そんなことを覚えさせられたりする。ゆうすけ君は、そういうのを覚えるのは好き?」

「ううん、嫌い。つまんないもん」

先生は待ってましたとばかりの表情。

「うん、先生もそう思うよ。そして、『地形』の次は『気候』。風はどう吹くとか、どれぐらい雨が降るとかやるよね」

「うんうん、あれ、ほんと意味がわかんない」

先生はなぜか笑顔。言いたくてたまらないという雰囲気が満々です。

「そして、どんな作物が育つとか、どんなお魚がとれるとか、どんな人形をつくっているのか、とかね」

「そうそう、知らんわって感じ」

「でも、よく考えてみて。『地形』って、『どこに何があるか』だよね。山や川があって、平野があって、身近でいうと、家があって、学校があって……」

「あっ、ほんとだ」

「さっきの『お店をどこにつくる?』って話も、山や川の近くよりは、家とか学校とかひとのたくさんいるところのほうがいいはず」

「たしかに」

「そして、『気候』って、風がどう吹くとか、雨がどれぐらい降るとか……。山に雲が当たると雨が降るから、山の位置と風の吹く方向がわかれば、どこに、いつ、どれぐらい雨が降るか予想できたりする。『風』って吹く向きがある程度決まっているように、『ひと』だって、どっちからどっちによく行くっていうのも決まってたりするよね。ゆうすけ君だって、よく行く公園とか、お菓子屋さんとかって決まっているでしょ?」

「うん、決まってるよ! 野球をやっても怒られない公園ってすごく少ないんだ! そこは、いつも野球好きの子でいっぱいなんだ!」

「そんな子どもたちのたくさん集まる公園の近くに、お菓子屋さんがあったらどう?」

「絶対行く! たくさん子どもがくると思う!」

「そう、『どこに何があるか』と『どういう方向に流れがあるか』がわかれば、『どこで、どんなことをすればいいのか』の予想ができたりする。つまんないって思っている『地理』には、じつは、ぜんぶ『つながり』があるんだ。そして、地理って科目は、『つながり』を見つける練習。それは『将来、大人になったら、どんな風に自分が好きなことをやったらいいのか』ってことを考えたりする練習になるんだよ」

「そうだったのか〜すごいな」

「そうやって、『つながり』を見つけて、まわりにたくさんお客さんのいるお店をなんでかなって分析したり、予想したり、どうなるか観察したりする。そしたら、『こうやったら、いいんだ!』ってのが見えてきたりする。それは、ゆうすけ君が大人になってお寿司屋さんをやるってなったときに、きっと、役に立つよね」

「うん! お寿司屋さんはやらないと思うけどね!」

「……そ、そうか……まあ、いいか……」

「でも、先生。ぼく、社会ってぜんぜん意味がわからないし、勉強しても意味がないって思ってたけど、何だか、すごく身近なものになった気がするよ!」

「そっか〜、それはよかった」

先生はすごくうれしそうです。

「よーし、いっぱい『つながり』を見つけて、がっぽり儲けるぞー!!」

……ゆうすけ君の晴れやかな表情とは対照的に、先生の表情は、また台風前の空のようにどんよりと曇ってしまいました。

 

<<終わり>>

子どもの才能を伸ばすために10歳までに始めたい5つのこと

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前回、記事を書いたところ、たくさんの方に読んでいただいたようで(ありがとうございます!)、その続きを書いてみました。

前回の「特徴編」につづいて、今回は「方針編」とでもいうもの。

よかったら、参考にしてみてくださいね。

 

①型を学び、守る

 

才能には、「能力」「スキル」、「努力することができる」など、様々な形がありますが、どんなものを身につけるのにも、研究し、磨かれていっている「型」があります。

 

「型」というと、「堅苦しい」(ダジャレではありません)というイメージを持たれるかもしれませんが、何かを学習するには、「最適な(と現在考えられている)手順」というのがあり、それは脳科学的にも理にかなっていることがほとんどです。

「型」というと「定石」というものがある将棋が思い浮かびますが、棋士の羽生善治さんは「型」について、

 

「将棋の差し手を決める時の大事な要素の一つに、型の美しさがあります」

「美しい手順がつくり出せた時には、それは強さも兼ね備えています」

「将棋のルールを覚えたての時には、どの形がよい形で、どの形が悪い形かはまったくわかりませんでした。しかし、少しずつこれはバランスのよい形とか、修正のしようのない悪い形とかがわかるようになりました。そして、それと共に上達をしたのです」

 

と成長における「型」の大事さと美しさをおっしゃっています。

 

将棋の「型」の強さを示すエピソードに、「欽ちゃん」で有名な萩本欽一さんが、若い頃、いろんな将棋の名人と呼ばれる方と対戦をし、ハンデがありながらも勝っていたりしたのですが、ある日、今でも現役の棋士である加藤一二三さんと対戦した時に負け、

 

「欽ちゃん、定石を覚えてください。プロは定石以外では負けないですから」

 

とアドバイスをされたそうです。

 

「型」には「無駄のない美しさ」と「強さ」があるのですね。

 

「才能」が磨かれるには、「どんな環境で育っているか?」という部分とともに、「時間の質」と「時間の量」のかけ算で育まれていくものがありますので、できるだけ小さいうちに「時間の質」を上げる「型」を学び始めることが大切です。

 

子どもたちは、

「読解力」や「論理力」、「問題解決力」などの「能力」、

マインドマップを使っての「考え方」や「整理の仕方」、「発想の仕方」、速読などの情報収集の「スキル」、

力がついていくための脳に合った「習慣」を学びますが、その際、「独学」や「自己流」に走らず、先生に言われたことを、素直に守っていくことが大事。

素直にそのままやるのか、何となくやっているかで、基礎が固まり、きちんと積み重なっていくかが決まります。

 

 

②家でも「意図的な練習」をする

 

「能力」や「スキル」、「習慣」は、地味なくり返しでしか身につきません。

そして、そのくり返しも、何となくやっていてはほとんど意味がありませんし、頻度も週に1回や2回などではなく「毎日」のことです。

長年にわたり「超一流」と呼ばれるひとの研究をしている、心理学者のアンダース・エリクソン教授は、「どれだけ知識があっても技能がなければ意味がない」と言い、まず、「知識」(何を知っているか)と「技能」(何ができるか)を区別し、特定の分野で能力を向上させたいと思うひとは、「毎日1時間以上」、「完全に集中して練習する」ことが必要だとおっしゃっています。

そして、「成長の初期段階」、「能力」や「正しい習慣」を身につけていく間、興味ややる気を維持することが何より重要だと言います。

 

この学習の「量」について、有名なジャーナリストのマルコム・グラッドウェル氏が提唱した『一万時間の法則』というものがあります。

これは、「たいていの分野で達人と言われる域に達するには一万時間の練習が必要だよ」というもので、覚えやすく、「定説」と呼ばれるぐらいになっていますが、この説について、エリクソン教授は、

一万時間練習すると、だれでも特定分野のエキスパートになれると思われるが、それには「意図的な練習をすれば」という注がつき、また、それも完全に肯定できるまでの研究結果は出ていないとおっしゃっています。

 

しかし、「意図的な練習」と「時間の量」は大事。

それらを重ねていくことで「習得のプロセス」のイメージとでもいうようなものが自分の中にでき、他のものを学ぶときもこうすればいいのだということがわかってきます。

家や学校、塾だけではなく、家でも、「どの能力、スキルを身につけるか」を考え、「意識して」「毎日一定時間」練習していってくださいね。

 

 

③難しいこと、新しいことをする

 

脳には、身体と同じように適応性(「可塑性」とも言われます)があります。

身体の適応性というと、1980年にヨシダ・ミノルさんという方が、「連続腕立て伏せ」の世界記録10,507回という、どうしてそんなにできるようになるのか意味がわからないデータがありますが、脳も、限界はありますが、大きな負荷をかけるほど、大きな変化をしていきます。

また、脳の適応性は、子どもの方が高いと言われていて、トレーニングの効果も高いです。

 

夏期講習など、通常より長い時間勉強する機会などによく見られるのですが、普段、2時間の勉強に慣れている子が、講習会で4時間、6時間と勉強をすると、夏が終わったときに、普段の2時間の勉強では疲れなくなっていて、「もう、終わり?」と言っている光景をよく見かけます。

通常の授業でも、幼稚園の子たちが、小学校の高学年でやるようなことを2時間など平気で笑顔で勉強している姿を見ると、子どもの可能性は無限だなということを僕自身も確認させてもらっています。

 

「インターリーブ」といい、練習では古いものをくり返すだけでなく、新しいものを混ぜるといいことがわかっていますが、新しいものを学ぶことで「違いを見分ける力」もつきます。

研究では、すでにできるようになっているものの練習を続けるより、新しい能力を獲得する方が、脳内の変化を引き起こすのに効果的であることもわかっています。

 

できることを続けるだけでなく、「望ましい困難」とでもいうような、自分にとって少し難しい(ここどポイントで、難しすぎると「フロー」という集中状態に入れません)、自分の限界を広げる、脳のなかに新しいつながりをつくり、脳を変えるための負荷をかけていくことが大事です。

 

もちろん、ただ難しいことをやればいいのではなく、長期的な目標から逆算した小さな具体的なステップになるものを、全神経を集中させ行い、どの部分ができていて、どの部分がまだ未熟かを教えてくれるフィードバックがあるといいです。

 

 

④学習、実践、復習、練習のサイクルをつくる

 

「息をするように勉強しようね」と子どもたちによく言いますが、勉強するということを特別なことではなく、普通のこととしてほしいなと思います。

よく伸びている子は、ただ、毎日勉強をしています。

難しいと言いつつも、できないことを自分がダメだからと思わず、今はまだできないだけと淡々とやっています。

息を「がんばって吸うぞー!吐くぞー!」と思うひとは(おそらく)いないでしょうし、息を「失敗した!」と思うひとも(おそらく)いないと思います。それと同じように、ただ、生活のリズムの一つとして、自然とやっていて、そこには力みも、ムリもない。

 

NLPでは、学習には4段階のプロセス、

「①無意識的、できない」「②意識的、できない」「③意識的、できる」「④無意識的、できる」があると考えられているのですが、

この②の段階、意識的にやっているのだけれども「できない」というときにはストレスがたまります。③の「できる」ようになってくると楽しみも感じてきますが、その段階に行くまでは、ちょっとしんどいですが、意識した、地道な練習が必要です。

 

学習習慣のない子、やり遂げた経験の少ない子は、この段階に行くまでに、「おもしろくない」「やめたい」と言い出すこともありますが、この裏には、できない自分に向き合いたくないだけということもあり、親やまわりが、その表面的な言葉に踊らされることなく「やめさせない」ということが大事になってきます。

残念ながら、うまくいくことばかりではなく、失敗や落ち込むことなども起こります。

そのときに、子どもが「やめたい」と言っても、自分でやると決めたからには、一定期間、どのレベルまでという区切りに到達するまでは続けさせることが大切です。

 

心理学者のベンジャミン・ブルームさんが、さまざまな分野のエキスパートを集め、その子ども時代を調べる研究を実施したところわかったのは、

「未来のエキスパートたちは、幼い頃、やめさせないように親がさまざまな手を尽くしていた」ということでした。

スランプに陥ったり、イヤなことがあったり、病気やケガなどで練習できないことがあっても、「やめたければやめてもいいが、まずは元のレベルに戻るまで練習すること」というようなことを言っていたそう。

愛情と自由を与えることと同時に、責任や限度をきちんと示すことが大切なのですね。

 

一つの目安として、「1年以上の継続」、「その間に進歩していること」というのがあります。

さらに、これに、「2年以上の継続」、「1週間当たりの時間、頻度を上げる」ということを加えると、より将来的な成功の確率が高いという結果もあります。(「やり抜く力」が育っているので当然といえば、当然なのですが)

一度、サイクルができると楽になりますし、安定感も出てきます。

よかったら、続ける期間などの目安の参考にしてみてくださいね。

 

⑤難しいことをたのしむ心を身につける

 

いよいよ、最後です。

自分の限界を超える練習は、楽ではありませんし、自分の弱点に気づかされる、向き合わされることもあり、楽しくなかったりもします。

「よくできる」(と言われている)子にも、できないことはたくさんあり、できそうでできなかったことに「くそー!」と悔しさをあらわにしたり、悔しさに涙を流したりしながらもしています。

でも、全体的にたのしそうで、ニコニコしています。

 

それは、何かを発見する感覚や、新しい自分、新しい現実に出会う創造的な感覚(「フロー体験」と呼ばれるもの)を今までに経験していることや、きっと、「いつか、自分はできるようになる」ということを心のどこかで知っていたりもするのだと思います。

ひとは働いているときに、テレビを見ているときの約4倍のフロー体験を得ているという研究もあるように、働く、子どもたちにとっては、勉強するということは、つらいこともあるかもしれないけれど、気持ちいいものでもあります。

 

それを体感として知っている。

そうなると、しめたもの。成長が加速します。

上りのエスカレーターに乗ったように、自然と力がついていきます。

 

そんな、高い意欲、「自分はやりたいからやる」というものと同時に、

子どもたちに、間違えてもいいという「成長思考」、これからやっていくなかで自分はできるようになるという「楽観主義」が育まれるようなサポート体制がたくさんあるといいなと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

たくさんの子どもたちが、成長するおもしろさを感じられますように^ ^

 

伸びている子が持っている5つの特徴

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こんにちは。

RAKUTOのにいどめです。

運動会が終わった子、もう直前!な子と様々ですが、

みんな教室でも、ちがう学校の子と「何やるの?」と演技を見せ合ったり、

たのしみながらがんばっています^ ^

先週の土曜日の午後から、先生3人で、近所の小学校に6年生の男の子の最後の運動会を見に行きました。

一生懸命な姿に涙腺が・・・終わった後、声をかける予定が、背中をポンと叩いただけで声にできませんでした・・・涙腺が弱すぎて困ります、、、

運動会って、ほんとにいいですよね。

 

今回は、最近、いい感じにやっているなと感じる子どもたちを見ていて気づいたことを、

『伸びている子の5つの特徴』としてまとめてみました。よかったら、参考にしてみてくださいね。

 

特徴①:どんどん間違えている

伸びているなと感じる子は、授業中によく発表をします。それが、たとえ、とんでもなく

間違っていたとしても(笑)

「間違えてもいい」

このマインド(スタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエックさんがいう、「Growth Mindset」)であることが、成長スピードを決めると言っても過言ではありません。

それは、このマインドを持っている子は、

「ひとは変われるし、成長できる」と思っており、

「失敗」を「一つの結果」、「必要な努力が足りなかっただけ」と考え、無力感に陥らず、学習をつづけることができるからです。

そして、このマインドは、今、将来的な成功のために、「IQ」や「才能」よりも重要だとわかっている力、「やり抜く力」の元になるとも言われています。

 

特徴②:毎週、問題集をやって見せに来ている

これは①にも関係することですが、間違えることを気にしないので、どんどん手が進みます。すると、たくさん行動するので、その分、「やったこと」、「できること」も増え、認めてもらう機会も増えます。そして、「これだけやった」という本当の自信もついていきます。

 

習熟度が上がると、自分ができることが増え、微妙な違いがわかったりすることがうれしかったり、おもしろかったりしますが、まだ、学習の初期段階においては、そういうものはわかりにくかったりします。ですので、自分がたのしいと思うものに対して、まわりがそれを認めたり、励ましたり、本人が達成感を感じたりすることが大切なのですね。

 

特徴③:あらゆることを学んでいる

「自分は文系(理系)」など気にせずに、あらゆることを学んでいます。

「蒔かぬ種は生えぬ」

ではありませんが、インプットがない限りは、興味を持つきっかけになりませんし、こんなことがしてみたい、こんな風にすればいいのでは?というアイデアも生まれません。

どの興味・関心の芽が出てくるかはわからないので、まずは、たくさんの興味・関心の種をまくことが大切です。

 

特徴④:たくさん本を読んでいる

これは③にも共通することですが、興味・関心の種をまくということと同時に、この時期

に言葉や用語がたくさん入っているということが大事です。ひとは言葉で理解し、考えるからです。

 

無印良品のアートディレクションをしているデザイナーの原研哉さんと、工業デザイナー の阿部雅世さんの対談本『なぜデザインなのか。』のなかに、

ある企業の工場で働いている人たちの仕事の能率があまりに悪く、試しに国語のテストをしてみたら、とてつもなく成績が悪かった。そこで、国語教育を始めると、俄然、仕事の能率がよくなったという話が出てくるのですが、

 

これに関して、原研哉さんは、

本を読むことにより、

「感受性が育まれ、感動の幅が生まれる」、

「言語は曖昧でデリケートなものに、輪郭を与える。輪郭が与えられないと曖昧なまま見過ごされてしまう」

とおっしゃっています。

 

また、明治大学文学部教授の齋藤孝さんは、著書『語彙力こそが教養である』のなかで、

 

「語彙が豊かになれば、見える世界が変わる」

「思考は、頭のなかで言葉を駆使して行われます。つまり、何かについてじっくり考えて意見を持つためには、先にたくさんの言葉をインプットすることが必要不可欠」

 

とおっしゃり、毎年、入学したばかりの大学1年生に、

 

「毎週、新書を3冊読むように」、

「その内容について発表してもらう」

 

とおっしゃっているそうです。

 

言葉を増やすことにより、受け取る量が増え、表現できる量も増える。そして、表現したものに対して、認めてもらったり、フィードバックをもらったりして、修正し、成長していくのですね。

 

特徴⑤:とりあえず笑顔

笑顔であるということは「リラックスしている」ということと同時に、「のびのびとたの

しんでいる」ということの証明です。

子どもたちを見ていておもしろいのは、笑顔の多い子はよく伸びるし、笑顔が増えてきた子は伸びたりするんですね。

たのしみ上手な子は、その場にあるもので、クリエイティブに遊びを考えたりしますし、勉強も遊びもスポーツも、いろんなことに挑戦するので、バランスよく脳も鍛えられます。

『やり抜く力』(アンジェラ・ダックワース)によると、スポーツ心理学者のジャン・コティさんは、最初の段階で「のびのびと」、「遊び」を通して興味を持ち、興味を深めておかないと、将来、悲惨な結果を招く恐れがあると突きとめたそう。まずは、「たのしんでいるか?」が大事なのですね。

 

以上、ホップクラスの子たちを見ていて、感じたことをまとめてみました。まずは、「マインドづくり」と「インプット」。よかったら、お家でのお子さまを観察するヒントにしてみてくださいね。

みんなが、これからも、のびのびと成長していってくれますように。

(にいどめ)