素材が大切

こんにちは。

新留です。

若い頃、お世話になっているメンターに、お祝いとして、お寿司に連れて行ってもらいました。

もちろん、普段、自分が行くような「回るお店」や、「立って食べるお店」ではありません。

「カウンターの」

「メニュー表はなく、おまかせのみ」

という、初めてだと、きっと財布の中身を心配し、ドキドキしてしまうようなお店です。

「こんな仕事終わりで、荷物がやたら大きな人間が来ていいのだろうか……?」

「何なら、シャワーとか浴びて、きれいめな服を着て来たかった……」

品のあるお店に、オーラのあるメンターとモサっとした自分。

かなりの恥ずかしさを感じながらも、とても楽しみに、カウンターに座り、お寿司を待っていました。

大将は、銀座の名店出身という本格派の「江戸前」をにぎる職人。

所作の一つひとつが美しく、

その動きの繊細さとなめらかさ、出来上がるお寿司の美しさにうっとりしてしまいました。

そして、見た目の美しさだけではなく、にぎる一品一品が、本当においしい!!!

大人になり、お寿司のおいしさがわかるようになり、お店にも食べに行くことはありましたが、いままで食べていたのは何だったんだ!? というくらいのおいしさに、

「うわっ……」

「なんだ、これは……」

「う、うますぎる……」

という偏差値3くらいの言葉しか発していませんでした。

大将は目の前で、品のあるお寿司を、あまり品のない会話をしながら、

一品一品、本当に手間暇をかけ、

こだわりの塩や醤油など、どうやって食べるのがおすすめなのかを含め、ていねいに教えてくれます。

間には、

「昨日、行きつけの(たぶん、夜の)お店でおいしいエビマヨの作り方教えてもらったんですよ〜」

なんて言いながら、昨日、習ったばかりのエビマヨを出してくれたりし、

また、これが今まで食べたどのエビマヨよりもおいしいという……衝撃……。

おいしさだけでなく、出す順番や演出にも意図やストーリーが感じられ、その芸術性にも感動しっぱなしでした。

大将に、思わず、

「今まで食べたお寿司というか、人生で食べたもののなかで、いちばんおいしいかもしれないです」

とまで言ってしまいました。

お寿司というと、シャリの上に、魚介類などが乗っているというシンプルな料理ですが、

「何でこんなにおいしいんですかね?」

と聞いてみると、ネタの良さはもちろんのこと、

それを活かす食べ方や出し方、見せ方など、ものすごくこだわりや技術があるそうなのです。

できるだけ「変なこと」をせず、

いい素材の「本来持っている良さ」を損なわないよう、活かすよう、徹底的に考え、工夫されていたのですね。

すばらしいお店との出会いによって、お寿司って、

「最高の素材を、最大限に活かして握ること」

が大事なのだなと思ったのでした。

これって、子どもたちの教育でも同じだなと思います。

「子どもたちの本来持っている才能や適性」、「好き」や「得意」を活かすこと。

合っていない方法でやるのではなく、

本来、自分が自然にできるようなこと、自然にやっているようなことを活かして学んだ方が、圧倒的に早く、そして、何より、楽しく学べます。

あんまり楽しそうじゃない時、

やっているのになかなか伸びないという時。

お寿司にソースをかけるような、「本来持っている素材の良さ」を全然活かせていない状態になっているのかもしれません。

やることは、課題の量を増やすことや難しい課題をやること、

取り組む時間を増やすことや習い事を増やすことではなく、

このお寿司やさんのように、

「持っている良さや才能を見つけてあげること」

「持っている良さや才能を損なわないようにすること」

「持っている良さや才能を最も活かせる形を見つけてあげること」

だったりします。

学校で評価されるのは、おもに「言語的知能」や「論理的知能」と呼ばれるものですが、子どもの才能は、それとはちょっとちがう方にあるのかもしれないのです。

「本を読むのが好き?」

「なんで?といっぱい質問してくる?」

「絵を描くのが好き?」

「気づいたら体を動かしてる?」

「一回聴いた音楽を、すぐに再現することができたり、よく歌ってる?」

「いつも、まわりにお友達がたくさんいる?」

「図鑑や電車の時刻表が好き?」

「1人で黙々と何かをやるのが好き?」

大切なのは、その子の良さや才能は何なのか?

他の子と比べて、「どれくらい賢いのか」ではなく、

その子は「どんな風に賢いのか」?

ひょっとしたら、ものすごくいいものが、ただ活かせていないだけかもしれません。

以前、デンマークまで現地の教育の見学に行っていた知り合いが、現地でこんなことを聞かれたそうです。

「自分の好きなことは何なの?」

「自分に向いていることは何だと思う?」

「自分が社会にいちばん貢献できることは何だろう?」

誰かとの比較ではなく、「自分」は何を持っているのか。

「子どもの好きなことは何だろう?」

「この子に向いていることは何なのだろう?」

「この子は将来、社会でどんな風に活躍するのだろう??」

そんな風に見つめていきたいですね^^

P.S.

そのお寿司やさんですが、その時、メンターから「今度は自分で大事な人を連れてきてあげるんだよ」と言われ、後に、奥さんを連れていき、大将に、「以前、今度は自分で来ますと言って、ようやく来れました」と言ったところ、完全に忘れられていました。。。ええ。。。