自分のアタマで考えるようになってほしいならコレをチェック!

「人が考えているかどうかを決めるのは、その人が書いているかどうかである。」
 
これは、『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』の中で津田久資さんがおっしゃっていたことですが、書くことがいかに大事かを述べた名言だなと思います。
 
授業中、子どもたちに「手を動かそう」とよく言うのも、書くことで考えることができ、書くことでその子が考えたかがわかるからです。
 
考えたことが見えないと、こちらも適切なフィードバックができません。
 
国語の文章や算数の文章題、中学入試などで見られる理科や社会などの長い文章を読む際は線を引きながら読む。
 
問題を解く際は、ポイントとなるところや、求められていることに線を引いておく。
 
読解時には大事な接続語に印をつけたり、論理構造をメモしたり、算数の文章題を読みながら図にしたり図形を描いたり。
 
こういった「手を動かす」という作業が、「考える」ということを促したり、補助したりしてくれます。
 
ノートを書き写すときにも、子どもたちに「写すのが授業じゃないよ〜」といって、自分でテキストを見ながら書くことを促していますが、ノートを書き写すだけでは勉強としての効果はあまりなく、「自分の言葉で書く」、「自分で調べたことを書き足す」ことが大事です。
 
マインドマップが有効なのは、自分で書く、書き足す、絵などで表すなどがやりやすいというのもありますね。
 
線を引くときも「目的を持って引く」ということが大切で、線を引くことが目的になっていないかチェックしていく必要があります。
 
「書く」って、ちょっとしたことですが、大きな差が出るところなのですね。
 
ただし、「書く」と似ている「塗る」はちょっとちがったりします。
 
先日も教室で見られたのですが、マーカーで資料集などをたくさんカラフルに塗っている子がいます。
 
「先生見て〜きれいでしょ〜」
 
とうれしそうに見せられたのですが、
 
「うーん……どこかで変なやり方教わったのだろうな〜」
 
と渋い顔になってしまいました。
 
覚えたいときによくやっているのが見られて、女の子で好きな子も多い「マーカーで塗る」ですが、これは注意が必要です。
 
「アンダーラインを引く」ことには効果があるという研究結果や論文などもあるのですが、それらはあとで読み返しやすいようにということだったり、自分で考えてという条件だったりで、先生が言ったことをマーカーで塗るだけでは、自分で考えていないので「ほとんど意味はない」でしょう。
 
塗っただけで脳が安心してしまうし、塗っただけで勉強した気になってしまうのですね。
 
結局、勉強というのはいわれてこなすだけではほとんど意味はなく、自分でどれだけ考えたかが大事なのですよね。
 
1992年の東京大学の英語の要約問題にも「蛍光ペンが教育に与える弊害」として出題されたことがありますが、そこで述べられていたのも、蛍光ペンを使用すると、ペンや鉛筆とちがい、本来、能動的、批判的、分析的な読書をしなくてはいけない若者が、受身な読書になってしまうという、若者の勉強のやり方への警鐘を鳴らす内容でした。
 
「書く」と「塗る」は似ているようで、ちがうのですね。
 
「書く」ということには、ワーキングメモリの負担を減らすという効果もあります。
 
ワーキングメモリの小さい子というのは、すぐに忘れてしまいます。
 
それは、指示の内容を忘れるというだけでなく、ときにはすべきことが何だったかということ自体も忘れてしまうのですが、書くことで脳の負担を減らすだけでなく、忘れることを防ぐこともできるのですね。
 
とくに、10歳以下のワーキングメモリの小さい子などは、関連性のない3つ以上の項目を覚えておくことがむずかしいと言われているので、小さいときから習慣として書くクセをつけておくといいですね。
 
ほかに、漢字を覚える際には、「音読しながら書く」ことで、聴覚と視覚を同時に使って学ぶことになるので、より少ない時間で、より少ない書き取り回数で覚えられることがわかっていたり、
 
算数や理科などは、テキストなどに載っている図やイラストなどを描き写すだけで理解や記憶が深まることがわかっています。
 
ワーキングメモリの弱い子は、読むことや算数で学習の遅れを生じやすいといわれていますし、とくに算数や数学はワーキングメモリへの負担の大きい教科ですので、「書く」ことが効果を発揮しやすいです。
 
子どもが勉強しているとき、「読む」だけになっていないか。
 
きちんと線を引いたり、図を描いたり「書く」ということをしているか。
 
ぜひ、チェックしてみてくださいね。
ただいまRAKUTO箕面校はハロウィンウィーク。
今年も子どもたち、そして、先生の様々な仮装が^ ^

中学受験漫画『二月の勝者』の黒木先生が地頭を育てる上で大事なことを言っていた件

『二月の勝者』という漫画をご存知ですか?
 
中学受験を題材にした漫画で、受験をする家庭内でどんなドラマが起こるのか、中学受験対策を行っている塾側ではどんなことを考えているのか、などがリアルに描かれていておもしろく、NHK「おはよう日本」やフジテレビ「ノンストップ」などでも取り上げられたりと人気の作品なのですが、先日、6巻が発売されたので読んでいたところ、たしかに! と思ったセリフがありました。
 
この漫画の主人公は東京の中学トップ校の合格者の6割を輩出するという「フェニックス小学部」の元・最上位クラス担当だった黒木蔵人先生。
 
その輝かしい経歴を捨て、前年は東京の御三家に合格した子がいなかった桜花ゼミナールという塾の校長になるのですが、新任の女性の先生が、その合格請負人である黒木先生に、
 
「あの子達を合格させるために今の私にできることを教えてください」
 
と尋ねます。
 
そこでの黒木先生の答えがこうでした。
 
「人にただ「答え」を教えてもらっているうちは「学習」とは呼べない」
 
「ジャイアントキリング(本来はスポーツなどで使われる「大番狂わせ」の意味。この漫画内では逆転合格などの意味)を成し得る可能性。それは、「自分の頭で考えているか」」
 
自分の頭で考えている子は、ジャイアントキリングを出来る可能性がある。
 
わからないなりにでも、質問に対して、自分なりの考えを模索しているような子は「思考」しているのでいいけど、返事だけで済ませているような子は「思考」していない場合が多い。
 
子どもに考えさせるような授業をすること、考える子を育てていくことが大事なんだというようなことをいっていたのですね。
 
ほんとにそうだよねと思いながら読んでいました。
 
受動的に授業を受けているだけ、ノートを写しているだけでは、残念ながら得られるものは少ないです。
 
「アクティブ・ラーニング」という言葉が知られるようになりましたが、能動的に参加するような授業でないと、自分で学んだことや考えたことを発話したり書いたりして考えないと、「わかった気」になってしまいます。
 
何となくわかったところで、それを適切にくり返さないと、「できる」という段階にはなかなか行けなくなってしまいます。
 
発話してもらったり、書いてもらったりして、きちんと考えているのか、を確認してあげることが大事なんですよね。
 
子どもたちに授業中に質問をすると、中には、すぐに「わからない」「できない」という子がいます。
 
まちがえること、自分ができないとバレることをおそれているマインドセットになってしまっている子も多いですし、自信がなく、心理的に最初からできないと思い込んでしまう子もいます。「考える」ということを面倒くさがるクセがついている子もいます。
 
ただ、できないというのは、できるまでやっていないというだけだったりします。
 
そして、やっているというときでも、そのやり方が、雑にな
ってしまっていることが多い。
 
考えること、
そして、小学生でも中学年以降は、論理的な思考ができるようになってくるので、やったことがきちんと身になるよう、脳にとって適切な学び方、考え方でやっていくことが大事です。
 
人間の脳が何かを習得するときには、
 
①脳内につながりをつくる
②くり返す
③感覚を身につける
 
という3つのステップを踏むのですが、やり方がまずいと、やっているのになかなかできないという残念なことになってしまいます。
 
まずは、全体像をつかみ、そのスキルを構成する細かい技術を知る。
 
そして、回路をつくるため、「正確さ」を重視し、一つひとつ「ていねいに」マネをしてみる。
 
この際に心がけておくのは、
 
「どれだけ早くできるかではなく、どれだけ遅く正確にできるか」。
 
この段階で適当なことをすれば、回路ができないので、「できている」と「できていない」の違いが認識できません。
 
天才研究の第一人者であるアンダース・エリクソン教授の言葉を借りると、
 
「能力の差は練習の差」
「上達しないのは生まれつき才能がないためではない。正しい方法で練習していないからだ」
 
で、退屈さを感じるかもしれませんが、ペースを落とし、じっくりと一つひとつの動作を身につけていきます。
 
次に「くり返し」。
ただし、「たくさんやらせる」のとは違っていて、太極拳のようなゆっくとした動き、「正確さ」が大事なので、なかなか疲れます。時間的にも、1日3時間ぐらいが限界です。
 
そして、くり返しを経て、ちがうやり方をしたときに、「あれ? なんか違う」「気持ち悪い」と感じる感覚を身につけていきます。
 
子どもたちを見ていると、この、「遅く正確に」「じっくりとくり返す」のは苦手な子が多いのですよね。
ぱっと目を離すと、雑に、「あ〜考えてないな」と一目でわかるやり方でやっています(笑)
 
「無理」「わからない」といって考えることから逃げようとする子もいます。
 
でも、わからないのではなく、わかろうとしていないだけで、一つひとつ、「次はどうするんだっけ?」といっしょにやってもらうと、きちんとできるんですよね。
 
先日も、算数は苦手と決めつけ、文章題を最初から「わからない」と考えていない子に、一つひとつプロセスを確認しながらやっていってもらうと、しっかりと、できていました。
 
本人も、あれ、できたやん…というような感じでしたが、やればできることってたくさんあるんですよね。
 
考えることから逃げず、また、簡単に「苦手」「自分はできない」なんて、自分の可能性にフタをしないでほしいなって思います。
 
そして、正しい勉強のやり方というのはあるし、正しい考え方というのもあるのでそれらを今のうちから身につけてほしい。
 
「試行錯誤する」というのは、「てきとうにやる」のとは違うのですよね。
 
イギリスの心理学者アラン・バドリーはいいます。
 
「勉強しようという意思は、適切な学習法の利用があってこそ役立つ」
 
ぜひ、やるにしても、適切なやり方を意識して、やっていってくださいね。

子どもも大人も!時間と心の余裕を増やすための時間割活用術

子どもたちから「忙しい〜」「遊ぶ時間がない〜」という声を聞きます。
 
保護者さまとお話していても、「いまの子たちは忙しいですよね〜」なんて話になることもありますが、学校の拘束時間が長くなったり、塾や習い事をいくつも掛け持ちしている子たちを見ていると、ほんとに大変だなと思います。
 
21時や22時頃に駅で塾のかばんを背負った小学生を見ることがありますが、朝8時から16時まで学校、その後、21時、22時頃まで塾という子たちを見ていると、大人より長時間労働だし、まだ体も小さく体力的にもきつく、大人とちがい自由裁量でつかえる時間やお金も少ない分、よりハードできびしいだろうな…とおもいます。
 
もちろん、保護者さんも忙しい。毎日の家事や塾や習い事の送迎、さらには働いている方もいたりと、「家事は女性がやるもの」「家事をしない(外注する)なんてもってのほか」なんて意識でいると、忙殺されてしまいます。
 
子どもにとって大変な時代だな…と思いつつ、大人にとってもなかなかハードな世の中。
 
先日の日本経済新聞電子版に書かれていましたが、日本の出生数が急減しているそうです。このままいくと2019年は90万人を割る可能性が高いのだそう。2016年に100万人を割ってからわずか3年で90万人レベルと、そのペースに驚きます。
 
まずは日本自体がハードモードになっているということを踏まえた上で、戦略を立てていかなくてはいけないなと感じています。
 
昭和とは完全にちがう状況のなか、できるだけ効率的に時間をつかい、意識的に豊かさを感じられる時間を増やしていきたいものです。
 
「時間がない」といっている子たちを見て、話を聞いていると、「たしかに、それは詰まりすぎ。きびしい…」という子もたまにいますが、どちらかというと、「時間の余裕がない」「時間の余裕を感じられていない」というのが多いなと思います。
 
そして、スマホの通信速度が落ちたときのように、脳の処理能力が落ちている状態になっている、それも慢性的なものになっているのだろうなと感じたりする子もいます。
 
「時間がない…」
「焦りや不安」
「脳の処理能力が落ちる」
「生産性が下がる」
「ますます時間がなくなる」
 
というループ。
 
このループにはまると、なかなか自力で抜け出すのは困難だし、精神論に走って自分を追い詰めてしまうと大変なので、意識的に行動を変えていきたいものです。
 
ということで、今回は「時間と心の余裕をつくり、生産性を上げるためにできること」として書いていきたいと思います。
 
時間と心の余裕をつくるためにやってほしいこと。
 
それは「時間割をつくる」です。
 
学校で時間割があると、「明日は朝から体育があるな」など、自動的に体と心の準備ができるように、できるだけ、自分が楽しくて、安定して成果を出せて、遊びも勉強も満喫できるような時間割をつくっていきます。
 
そのためには、いまの時間の使い方をチェックし、「理想の状態になるための時間の使い方」を決め、行動を変えていくことが必要。
 
「生産性」というものは、「アウトプット÷インプット」。
 
「アウトプット」、どれだけの成果物を出し、そのために、「インプット」、どれだけの時間やお金を費やしたかによって決まります。
少ない時間やお金で、たくさんの成果を出すことができれば、それは生産性が高いということになります。バランスを見ながら、最適化していければいいですね。
 
ここで大事なのは、時間をたくさんかければ、どんどん生産性というのは下がるということ。
「子どもがたくさん勉強をするようになって、成績が伸びました!」
これはたしかにすばらしいのですが、勉強時間を増やせば、成果が増えるのは、ある程度、当たり前といえば当たり前で、それは「生産性が上がった」ということではないのですね。
そして、勉強時間を増やすというのは、いちばん危険な考え方でもあります。それは、時間というのは、かけようと思えば、食事の時間を減らしたり、遊ぶ時間を減らしたり、睡眠時間を減らしたりすれば、簡単に増やすことができるから。
進学塾だと、すごい量の課題を出されたりしますが、素直な子や、まじめな親御さんだと、言われたら全部をやらないといけないと思ったり、全部を終わらせようとし、体力や精神の限界がくるまで「がんばる」でしょう。
でも、それでは、子どもや親御さんの心や体に影響が出てしまい、最悪な時には、親子関係もこわれてしまうかもしれません。
 
そうならないよう、投入する時間は限度を決め、できる限り増やさないようにすることが大切です。
 
つねに、「時間は短く」「成果物は大きく」を軸に考えていくことです。
そのためには、当たり前ですが、必要なことを見極め、必要なことに力を注ぐこと。
 
そして、「すべてはできない」という、いい意味での割り切りを持つこと。
「やっておいたほうがいい」ということを考え出すといくらでも量は増えていくので、「何時には課題が残っていても終える」など、時間的な制約などを決めておきましょう。
 
それでは、実際に「時間割づくり」に入っていきますが、具体的には3つのステップを踏んでいきます。
 
①自分の時間の使い方を知る
 
時間と心の余裕をつくるにも、生産性を上げるにも、まずは、「いまの自分の時間の使い方を知ること」です。
 
当たり前なのですが、時間は誰にとっても「24時間」なのですね。
学生時代、本当に賢いなと感じる子は、どちらかというと、のほほんとしていたりする子でした。
僕の数倍(いや、何十倍?)も賢かったですが、彼らが、僕の数倍勉強していたわけではないのですね。勉強もクラブも、あまつさえは、恋愛などもしているという「リア充」だったのです。
 
社会人でいうと、仕事で成果を出し、仕事終わりや休日は遊びを満喫し、家族との関係もうまくいっているというような感じ。実際、よくしていただいている経営者の方たちを見ていると、僕の軽く数十倍の成果を出されていて、よく旅行に行っていたりなど時間と心の余裕を持たれ、家族とも仲良く幸せに暮らされていますが、その方たちが、僕の数十倍働いているわけではないんですよね。
 
「時間の使い方」がちがうだけなのです。(毎回、そういう方にお会いするたびに質問させてもらいますが、「時間の使い方なだけだよ〜」といわれます)
 
「時間」というのは、形のないものですが、形のないもの、見えないものは変えようがありません。
ですので、最初にしなくてはいけないことは、自分の今の時間の使い方はどうなっているんだということを「見える化」すること。
 
「家計簿」をつけるようなもので、「なんで月末にこんなにお金が減っているんだろ…?」と思っても、「支出」の記録がないと、どこの予算がオーバーしていたのかわからないですし、来月、どうしたらいいのかということも計画できません。また、わからないと「来月は節約しよう!」という精神論になってしまいます。
まずは、手帳や表などを用意し、何に、どれくらい時間を使っているのか、「時間の家計簿」をつけてみましょう。
 
②固定時間をうめる
 
今の時間の使い方がわかったら、次は、「固定されている時間」や「睡眠時間」を埋めていきます。
 
毎月かかる「家賃」や「食費」、「電気代」などの「固定費」があるように、時間にも、「固定のもの」があります。
子どもだと、「学校に行っている時間」や「必要な睡眠時間」があるので、それらを埋めていきます。
 
ここで大事なのは、脳のためにも、「睡眠時間」は絶対に削らないようにすること。子どもの脳と体の成長のために、「最低でも8時間」は欲しいところです。
 
ノースフロリダ大学心理学教授のトレーシー・アロウェイによると、ワーキングメモリー(頭がいい子はこれが強いです)を発達させるには、5〜12歳の子どもでは「10〜11時間」の睡眠時間が必要だそう。なかなか、そこまではきびしいかと思いますが、「8時間は厳守」の気持ちで設定してくださいね。
 
そして、この時点では、「習い事」などの時間は含めないようにしてください。それをやってしまうと、「これは必要」などの思考が働きます。これらは、「ほしい」という感情とはちがうので、これを先にやってしまうと、今までの時間の使い方から変えていくことができません。
 
最低限必要な生活費があるように、最低限「かかる時間」を埋めていきましょう。
 
③理想の時間の使い方を決める
 
いよいよ最後です。
最後にやることは、「子どもがどうなりたいのか」、「家族として、どんな暮らしをしていきたいのか」に合わせ、残っている時間を割り振っていくこと。
 
理想の生活への「旅行のプラン」を練るような楽しい時間です。
 
旅行でいうと、移動時間や待ち時間、ホテルでゆっくりする時間や朝食や夕食をとる時間を除いた残っている時間を、「自分のやりたいこと」や「なりたい気分」に合わせ埋めていきます。「遊びの時間」や「ぼーっとする時間」というのも含めて計画していきましょう。
 
「○○中学に合格する!」ということだったら、そのために必要な時間を入れていきます。
 
おいしいものを食べることが好きなら、おいしい店がある場所をたくさんまわれるように計画を立てる。買い物が好きなら、その土地ならではのお店や、ショッピングモールをまわれるように計画を立てる。
 
そんな風に、「子どもや家族がなりたいもの」に合わせた「時間割」をつくっていきます。
 
その際、作り方にもコツがあります。
 
それは、「子どもや自分のタイプ」、「エネルギー」、「処理能力」を考慮してつくること。
 
「朝型や夜型などのクロノタイプ」
 
「ショートスリーパーやロングスリーパー」
 
「自分の部屋の方が集中できるか、カフェや図書館などの公共の場所の方が集中できるのか」
 
など、その人固有のタイプ、自分の「調子のいい時間帯」というのがあります。
 
子どもだと、学校から帰ってきた後は疲れているので、帰宅後すぐに勉強をするなどは、なかなか厳しいです。スマホの充電が残り20%、電波が悪い、ようなもので、処理能力もかなり落ちています。
 
「栄養補給」や、ぼーっとする、15分ほど目を閉じる(仮眠ができれば理想ですが、夕方になっていると睡眠に影響するのできびしいところです)などの時間を組み込めるといいですね。
 
また、「夜型」の僕にとっては「朝活」というのは地獄なように、その子にとってベストな時間と場所というのがあります。それを考慮し、「いつ、どこで、どのように、なにをするか」の具体的な計画を決めます。
 
行動科学では、この具体的な計画のことを「実行意図」というのですが、人間というのは、心理的に、一度決めたことは、守りやすくなります。
 
また、人間は「できるだけ考えない」ようにできていて、考えることはたくさんのエネルギーを使います。ですので、あらかじめ決めておくことで、「脳のエネルギーのムダな消費」を防ぐようにします。
 
先延ばしとモチベーション研究の第一人者、ピアーズ・スティール教授は、
エネルギーを補充し、賢く使うためには、
 
・午前中や、お昼前後の時間に、難しい課題を行う
 
・空腹にならないようにする
 
・規則正しい睡眠をとる。そのため、就寝前の行動を決めておき、同じ時間にベッドに入る
 
・週に何日かは身体を動かす
 
ことなどが大事といいます(運動の効果についてはまた別の機会に)。
 
面談などではこれらを行い、バランスを見ながらアドバイスさせてもらっていますが、そうでない方も、時間の使い方で困っているなという方は、これらのことを踏まえ、ぜひ、一度つくってみてくださいね。
 
そして、時間割は目標や時期によってどんどん変化するものです。やってみた結果を考慮しながら、何度もつくりかえていってくださいね。
 
子どもが、そして、大人も時間の使い方がうまくなり、たくさんの充実したひとり時間や家族時間が過ごせるようになりますように!

読めない、書けない…そんなときは語彙をしっかりと!

「先生、うちの子、国語力というか読解力が弱いと思うんですよね。算数のテストでも文章になると、これ、数字てきとうに計算しただけなのでは? ってのがよくあるんです」

という相談を受けます。

テストを見せてもらって、その問題を解くのに必要な力ごとに分類、どんなことを書いているのかを見てみると…うん、読んでいないのでしょうね(笑)

国語力や読解力が、社会に出てから必要なのはもちろんですが、

勉強面においても、センター試験が今回で最後になり、新しく始まる大学共通テストで国語と数学の記述式問題が導入されるなど、読解力や記述力、

「相手が書いている、いっていることを正確に理解する」力、

「それに対する適切な答えや自分の考えを相手に伝わるように書く、話す」力はますます必要になっていっているのを感じます。

おもしろいのが、国語力は、日本でよく長時間労働などの問題の際、取り上げられることも多い仕事の「生産性」にもつながっているかもしれないということ。

無印良品のアートディレクションをしているデザイナーの原研哉さんと、工業デザイナーの阿部雅世さんの対談本『なぜデザインなのか。』のなかに、ある企業の工場で働いている人たちの仕事の能率があまりに悪く、試しに国語のテストをしてみたら、とてつもなく成績が悪かったという話があります。

そこで、国語教育を始めると、俄然、仕事の能率がよくなったのだそう。勉強だけでなく、仕事にもつながるとなれば、これは鍛えないわけにはいきません。

教室でも、全然読めなかったり書けなかったのに、しっかり内容を理解し、記述問題でも半分以上は書けるようになった子がいますが、その子たちがどうやって読めるよう、書けるようになったのか。

そこで大きな役割を果たしたのが「語彙力」。まず、語彙力をつけることをしていきました。

国語の説明文や論説文を読むためには、難しい言葉を知らなくては意味を理解できませんし、物語文を読んでも、出てくる名詞や動詞を知らなければ何が起こっているのか理解できません。感情語を知らなくては登場人物がどんな気持ちになっているのかがわかりません。

シカゴ大学の教授であったM.J.アドラーによると読書の第一レベルは「単語の識別」だそう。単語がわからないと「その文は何を述べているか」がわかりません。

ですので、ホップ、ステップ期、年齢でいうと10代の始めまでにたくさんの単語を知っているといいですね。

以前、物語文を読んでいるときに「何が起こっているのかわからない」という子がいました。質問していくと、読めるけど、それが何を表しているのかがわからないので、状況も、気持ちもわからなかったよう。

「こういう状況で、こんなことが起こったんだよ」ということを説明してあげると、「あ〜そういうことか!おもしろい!」と、いままでつまらないと思っていた物語のおもしろさがわかったと言っていました。

音読が苦手という子がいると眼球運動に何か問題があるのでは? と思ってしまいますが、研究によると、「読む単語が難しいから注意がそれてしまう」ということが多いことがわかっています。大人でも、知らない単語だらけの英文を見たら、読む気が無くなってしまいますよね。

RAKUTOでいうステップクラスの子たち、中学年以降の子たちは、漢字や言葉に意識的にふれる機会を設けていますし、お家でも、「意識的に」言葉を増やすトレーニング、「語彙トレ」をするようにおすすめしています。

絵本、漫画など、何でもいいので、まずは単語にふれていってくださいね。

絵と文字がペアになっているものだとイメージしやすくていいですね。漢字も「下村式」など、元となった絵などのイメージが書かれているものだと覚えやすくていいです。

読み書きの基本となる「漢字」の覚え方に関しては、2018年に中国で行われた研究により「視覚」と「聴覚」を使うことで、もっとも良く、短い時間で覚えられるという結果が出ました。

「その漢字がどんな風にできたかを見て、音読しながら、形を見て書く」というのがいいので、下村式の「となえておぼえる」「となえてかく」シリーズなど、よくできているのでおすすめです。 

「好き」とつなげるのも有効です。

ある男の子は「歴史」が好きで漢字を覚え、ある男の子はゲームが大好きで、ゲームの攻略本を読むために漢字を覚えていきました。

趣味は「長期記憶」なので、覚えられるし、知りたいという積極性も生まれます。この時期は好きや趣味を通して言葉を増やしていってくださいね。

教育者の齋藤孝さんは『語彙力こそが教養である』の中で、語彙について、

「より多くの語彙を身につけることは手持ちの絵の具が増えるようなもの」、

「語彙が豊かになれば、見える世界が変わる」

とおっしゃっています。

大量のインプットで語彙が豊富になり、みんなの世界がどんどん彩り豊かになりますように。(にいどめ)

 

トイ・ストーリーを見たことない人が初めてトイ・ストーリー4を見に行ったらウッディの子どもへの関わり方がすばらしく感動した話

こんにちは。にいどめです。

3連休の最終日、梅田で『トイ・ストーリー4』を見てきました。

トイ・ストーリーは1から3まで見たことがなく、キャラクターについてもウッディとバズ・ライトイヤーという名前を知っているぐらい。

だったのですが、見てみると、教育や子育てに関してすばらしく参考になる映画だなと感動したので、今日はそのことについて書いてみたいと思います。

(以下、トイ・ストーリー4について若干のネタバレとエンディングについての記述がありますので、これから見ようと思っている方、まだご覧でない方は見ない方がいいかもしれません)

新しい持ち主のボニーという女の子を見守るウッディやおもちゃたち。

ウッディは「おもちゃの幸せは子どものそばにいること」と考え、持ち主のボニーが幼稚園に行くことをこわがっているなか、幼稚園でうまくやっていけるよう影ながらサポートしていきます。

幼稚園でボニーは話せる友達がいなく、さびしい思いをしているのですが、ウッディの助けもあり、工作の時間に夢中になることを見つけます。

そして、ボニーはその後、工作の時間に自分でつくった先割れスプーンの手づくりおもちゃ「フォーキー」のことが大のお気に入りに。どこに行くにも、いっしょに行く友達になります。

でも、フォーキーは自分のことをもともとの役目を果たしていない「ゴミ」だと思い込んでいるので、ゴミ箱を見つけては、そこに行こうと何度も脱出。その度に、「ボニーには君が必要なんだ」とウッディに連れ戻されます。

最初はつらかったけど、無事、楽しく体験入園を終えることができ、幼稚園入園を控えた週末、ご褒美として向かった旅行中に、連れて行ってもらっているウッディやおもちゃたちがたくさんのハプニングに見舞われて……という話なのですが、このウッディがボニーという女の子に対して、していた関わり方がすばらしかったのです。

ウッディはボニーのことを大事に思い、ボニーにばれないように、いろんなサポートをしていくのですが、そこには「やさしさ」と、やり過ぎない、あくまで、ボニーが自分でできるようにという「きびしさ」がありました。

心理学的に子育てには大きく分けて4つの分類があり、

それらは、「賢明な育て方」と「独善的な育て方」、「寛容な育て方」と「怠慢な育て方」という呼ばれ方です。

4つの特徴は、

①要求は高いのだけど、支援も厚いのが「賢明な育て方」

②要求は高いのだけど、支援はしないのが「独善的な育て方」

③要求は低く、支援は厚いのが「寛容な育て方」

④要求は低く、支援もしないのが「怠慢な育て方」

研究で、はっきりと、いちばんいいといわれているのは、もちろん①の「賢明な子育て」であり、この育て方をしている親を持つ子どもたちは、他の育て方をされた子たちよりも、学校の成績がよく、自主性が強く、うつ病などの精神的な症状に悩まされる確率が少なく、非行に走る可能性も低いことがわかっています。

②の要求は高く、支援は少ない「独裁的な育て方」をされた子どもは「行儀の良い子」になるかもしれませんが、親のルールに従い、親の言うことに従うことが中心になるので、自発性や自制心が育まれにくくなります。抑圧されたものが強くなると、隠れて悪さなどをする可能性も高くなってくるでしょう。

③は「寛容な育て方」と呼ばれ、親子仲も良いことが多く、やさしい子になる可能性が高いです。いい育て方だと思うのですが、反面、「甘やかす」ことと表裏一体だったりで、規律を嫌ったり、ルールを守らない子になったりする可能性があります。また、本人の自己評価が高い割に「GRIT(やり抜く力)」が弱かったりするので、何かを達成するという力は低く、成果などはあまり上げられない子になってしまう可能性があります。子どものいい面を引き出し、伸ばしていってあげるには、「線引き」をきちんとできるかがポイントになったりします。

④の「怠慢な育て方」は、関わり方が低いと、「ネグレクト」と呼ばれるものにもなります。期待もされていないし、サポートもないので、非行にも走りやすくなってしまいます。自信もつきにくいでしょう。

ウッディは、迷いながらも、この「やさしさ」と「きびしさ」のバランスが絶妙でした。

「主役」はあくまでボニー。そのサポートをし続け、見守ります。

そして、物語の最後には、たくさんの葛藤を抱えながら、相棒のバズ・ライトイヤーに、

「彼女は、もう大丈夫だ」

という後押しをもらい、自分の人生を歩き始めます。

100%の愛情を注ぐところから、やることとやらないことの規律をつくる段階、そして、信頼し、離れていく段階へ。まさに、サポートする側の成長物語だなと思い、見ていました。

いや〜、すごいですね。PIXER。1から3も見たくなりました。

『トイ・ストーリー4』。

おもしろいだけでなく、子育てや教育に関わる方にとって学びが多く、ぜひ見てほしいなと思った映画でした。見てみてくださいね。

追伸。

「賢明な育て方」は理想ですが、厳しくする部分も必要で、やさしいお母さんなどを見ていると、あまり向いていなかったりするな〜と感じることもあります。

自分が向いていないのにやると、できない→自己嫌悪→子どもに当たってしまう→自己嫌悪……のループにはまりやすくなってしまうので注意です。(よく、そういうご相談を受けます)

まずは、自分はいまどのタイプなのかな? 性格的にどのタイプに向いているのかな? というところから考えて、得意なところは活かし、苦手なところはまわりのサポートを受けるなどして、やっていってくださいね。

写真はこの前まで東京でやっていた「ピクサーのひみつ展」での1枚。

この写真を撮った後、スマホがこわれて写真はこの1枚のみ。。。

遊んでいるようなのに頭がいい子がやっていること

先日、授業終わりにお迎えにいらっしゃったお父さまとお話したときのこと。

もう教室に4年以上通ってくれていて、いつも笑顔。勉強以外のことにもたくさんチャレンジし、実力だめしに受けに行った模試の成績などもすごくよかったりする子なのですが、

「いっつも遊びに行ってるみたいなんですがうちの子って勉強してます!?」

といわれました。

たしかに、世間話をするように教室にきて(いつも「あんな〜今日な〜」と報告を受けています)、授業中はむずかしいことをやってはいるけどどんどん質問をしながら取り組み、ツッコミをいれ(言葉の発達により年々鋭さを増してきています)終わった後もみんなを巻き込んで遊び、時間になったら「じゃあね〜」と帰っていく。

先生たちみんなが、「こんな風になってもらえたらいいよね」と思ってやっていることを見事に体現してくれている子だねといっている子ですが、客観的に見ると、遊んでいるようにも見えるのかなと思いました。

でも、社会で活躍する子、リーダーになるような人って、眉間にしわを寄せてがんばっているというよりも、それが好きで楽しんでやり続けているうちに影響力を持ち、まわりを巻き込んでいっているような人なのですよね。

「頭のいい子」というと、どんな子を思い浮かべますか?

集中力が高く、やるべきことをさっと終わらせられる子

優先順位をつけるのが上手で、必要なこととそうでないことを見分けられる子

パッと解決策やアイデアが浮かぶ子

計算や決断が早い子……

じつは、これらはぜんぶ「ワーキングメモリ」という能力によるもの。

「IQ」を賢さだと思われている方もいますが、IQはあくまで「知っていること」。

お金をかけ、いろんなことをやれば伸ばすことができたりします。そして、将来の成功にはほとんど相関性はないということがわかっており、情報自体は探せば見つかる21世紀の将来の成功を測る物差しとしては最適ではない、とアメリカの心理学者などもはっきりと言っています。

21世紀型の賢さ、「知識を使って何かを生み出す」というのは「ワーキングメモリ」のやることなのですね。

ワーキングメモリの強さにより成績を95%の確率で予測できるという研究もあります。

低学年のクラスだと、とくに「ワーキングメモリの強化」というのを大きな目的のひとつとしてやっていますが、それらが育っているのをみると、これからどんな風になっていくのかなと楽しみにさせてもらっています。

低学年〜中学年のホップクラスを長くやっている子の中には、すごく明るくなったなと感じる子もいますが、ワーキングメモリには感情の切り替えがうまくなり、楽観的になりやすくなる、という研究も。

こんなすごいことだらけのワーキングメモリ。鍛えない手はありません。

お家でも、

・充分な睡眠(10〜11時間を目安)

・ 毎日の読み聞かせや音読、読書

・ 歩く、走るなどの運動

・ 数独などのパズル

・ ゴールから逆算して考える

・ メモをとる

・ 部屋や机の整理整頓をする

などで鍛えることができます。

ぜひ、やってみてくださいね^ ^

使い方注意!子どもの才能と学力を伸ばすためのテスト活用法

9月8日の日曜日に、MOTHERHOUSE(株式会社マザーハウス)さんが毎年行っているサンクスイベントに参加してきました。
 
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」
 
とバングラデシュやネパール、インドなど、それぞれの国の個性あるすばらしい素材を活用し、「途上国のものだから」ではなく、「商品として素敵だから」買ってもらえるものをつくられていて、その理念と、商品のすばらしさにファンの1人なのですが、
 
その会のなかで、チーフデザイナー兼代表取締役社長の山口絵理子さん(情熱大陸やカンブリア宮殿などで特集されたりもしているのでご存知の方も多いかと思います)のお話の後にQ&Aの時間がありました。
 
語学留学をしようかと考えている方だったのですが、
 
「山口さんはどんどん新しい国に工場をつくったりしていますが、どうやって言葉の勉強をされているのですか?」
 
というようなご質問をされました。
 
さまざまな国に活動を広げ、各地を飛び回りながら、現場でデザインをしながら、経営もされている多忙な中、新しい国にいくときにはその現地の言葉を学んでいくという山口さんですが、
 
その質問への山口さんの答えが、
 
「いまでも朝と夜に1時間ずつ語学の勉強をしているんですよ。ドリルとか解いて」
 
でした。
 
より良いものをつくるためには、現地の職人さんたちに自分の感情を伝えなくてはいけない、自分の言葉で伝えなくてはいけない。
 
そのためにも現地の言葉を勉強されているということに、モノづくりへの情熱を感じ、胸が熱くなったのですが(すぐ泣く)、そこで同時に思ったのが、圧倒的な努力と同時に、やり方もすごくすばらしいなということでした。
 
(感動しながらも、すぐにその方法はその人に合っているのか、そのやり方は脳科学や心理学的に適切なのかとかに目がいってしまう辺り、職業病だなと感じます)
 
「ドリルをやる」
「問題集をやる」
「テストをする」
 
これらって、子どもたちはあまり好きじゃない子も多く、
 
「テストをするよ」というと、「え〜、いやだ〜!」という子も多いです。(先週もブーブーいわれました)
 
小さい時から「マルバツ勉強」をくり返してきたような子や、「お直し」という名の苦行や修行などをたくさんさせられてきた子だと、「バツはダメなこと」だというマインド(「Fixed Mindset」といいます)になっていたり、「バツは罰」につながっていると思っているような子もいます。
 
でも、問題集をすることやクイズ形式で学ぶこと、テストすることって、「テスト効果」といいますが、とても有効な手段なのですよね。
 
テストは地図のように目的地と現在地を知るための「計測ツール」であり、ウェイトトレーニングのように特定の箇所を強化し、学びを促進するための「学習ツール」。
 
テストは、認知心理学の分野で研究が進み、「覚えるために受けるもの」であったり、「覚える前に受けた方がいいもの」だということもわかっています。
 
イリノイ州のある中学での数年にわたる実験でも、たった数分のテスト(クイズ)をするだけで成績が上がり、「89%」の子が自分の成績の向上を実感しました。
 
さらに、勉強や暗記などの「インプット」的なものと、テストや発表などの「アウトプット」的なもの理想的な比率というのは、アーサー・ゲイツら心理学者の研究で、
 
「インプット1:アウトプット2」
 
が理想だといわれています。
 
「3分の1をインプット」に使い、「3分の2をアウトプット」に使うことで、「30%」近く優れた成績を残せるそう。
 
事前にテストを受け、「わからないことを明確化、意識化」することで、あとで脳が学ぶため、思い出すためのきっかけをつくるのですね。
 
発達心理学の世界的権威、キャロル・S・ドゥエックは
 
「努力の大切さを強調すれば、子どもはすばらしく変われる」
 
といいますが、
 
山口絵理子さんのお話を聞きながら、子どもたちにも、
 
「テストの目的は成果ではなく成長」だと知ってもらい(もちろん、成果にこだわらなければいけないテストもありますが)、
 
「覚えたらテストではなく覚えるためにテスト」の感覚でどんどんトライして、山口さんのおっしゃるKeep Walkingならぬ、Keep Learningしつづけてもらえたらなと思ったのでした。

知識があるから興味が出る

夏休みも終わり、新学期が始まりましたね。

 

子どもたちからは「友達と会えるのうれしい!」という声や「学校つまらん〜しんどい〜」などという声も聞こえています(笑)

昔とちがって、子どもも大人もやらなくてはいけないことは多いですが、本来、新しいことを知ること、できるようになること、「学ぶ」っておもしろいもの。

学ぶおもしろさを思い出し、新しいことに出合ったり、難しいことに出合ったときに楽しめる感性を身につけていってほしいなと思っています。

先日、歴史の授業中にこんなことがありました。

織田信長から豊臣秀吉の時代をへて徳川家康が天下を取る時代、その大事なきっかけとなった関ヶ原の戦いにおける東軍と西軍の配置図を見ながら、

「どっちが有利だと思う?」

「どっちが勝つと思う?」

という話をしていたのですが、5年生の男の子が、

「そういえば、昔はわれこそは〜って名乗ってから戦ってたんやんな〜」

と言い出しました。

鎌倉時代、元が攻めてきたときに、竹崎季長の「蒙古襲来絵詞」の絵を見たりしながら、日本の当時の戦い方である一騎打ちと元の集団戦法のちがい、「てつはう」などの使っていた武器や防具のちがいについて話したのを覚えていたそうなのです。

そこで、これはチャンス!と、

「なんで、その当時、日本ってそんな戦い方してたと思う?名乗るより、いきなり攻撃した方がいいよね?」

と聞いてみました。

「たしかに、何でだろ?」

と考えていました。

じつはこれ、1993年の東京大学の日本史の問題になっているもの。

その当時、鎌倉幕府と御家人というのは、「御恩」と「奉公」という主従関係で結ばれていて、将軍から戦いにおける活躍の恩賞、「御恩」として土地などを与えられていました。「だれの功績なのか」というのを明確にしないと、せっかく活躍しても、「御恩」が受け取れません。ですので、名前を名乗るし、一騎打ちを好んでいたのですね。

そういうことを伝えると、

「おおっ、なるほど〜」

と、つながりが見えたようでした。

きっと、彼のなかで、今回学んだことは忘れないんだろうなと思います。

低学年の子だと、丸暗記のようなものもできたりしますし、実際、幼稚園クラスの子たちを見ていると、驚く速さで言葉や知識を覚えていっています。でも、中学年になると、なかなか丸暗記するということはきびしくなります。

単純なくり返しを「維持リハーサル」、意味を考えたり、関連付けたりすることを「精緻化リハーサル」といいますが、記憶の定着を良くするためには、精緻化リハーサルの方がもちろん効果的。

それに、何より、丸暗記というのは、ほとんどの人にとってはおもしろいものではありませんよね。論理的・数学的知能の強い子だと、とくに、理由や理屈がないものはおもしろくないので、「何でこんなことをやらなくちゃいけないんだろ?」と思ってしまいます。

中学年からは「考える勉強」が大事。

そして、その前には興味や関心の種である知識を蒔く時期があります。

勉強が作業のようなものではなく、考えるという知的な活動、おもしろいものだというふうになっていってもらえたらなと思います。

これからも、ますます、たくさんのことに興味や関心を持ち、探究すること、考えることを楽しんでいってくれますように!

真剣に何かに取り組んでいる姿は尊いですね…

読売テレビかんさい情報ネットten.さんで放送されました。

少し前ですが、読売テレビ夕方の番組『かんさい情報ネットten.』さんにて、G20とからめてRAKUTOで子どもたちがプランクトンについて学ぶ様子が放送されました。

当日、子どもたちは「テレビ!テレビ!」と大はしゃぎ。

その日から、映ったクラスの子たちの保護者さま、他の曜日の保護者さま、そして、それ以外にも以前通ってくださっていた卒業生の保護者さまなど、たくさんの方に「見たよ!」「録画したよ!」といわれたり、メールをいただいたりして、うれしかったです。

放送後、他の曜日の子たちからは「今日はテレビ来ないの!?」というアピールがたくさんでした(笑)

ただ、いちばんの大きな反響はというと、「20歳」と偽っていた先生の正しい年齢が公共の電波で暴露されたこと…

翌週の子どもたちは教室に入った瞬間から「○○歳!」「○○歳!」と連呼。

「詰めが甘かった…!!」

と先生は悔やんでおりました(笑)

そして、子どもたちがにぎやかすぎて、教室でのインタビューも全カットに(笑)

……何はともあれ、盛り上がり、いま世界で実際に起こっていることを知り、何か未来について考えるきっかけになったのかなと思い、よかったです。

そして、番組内で円広志さんが「教育を通して子どもたちに伝えていっているのがすばらしい」とおっしゃってくださり、本当にありがたかったです。

わたくしめはというと、当日、授業に出ていたり、映りに行こうとする他のクラスの子たちを食い止めるため扉の前に立ちふさがっていたりで、いらしていただいたレポーターやカメラマンさん、ADさんなどには軽く挨拶をしただけ。

ご挨拶いただき、名刺をいただいたレポーターの中村和可奈さんのお姿をあとでインターネットでじっくり拝見し、当日のじぶんの振る舞いを激しく後悔いたしました…

反省をいかし、次はしっかり拝める準備をしたいと思います。

ご協力いただいたみなさま、うれしいご連絡をくださったみなさま、ありがとうございました!

なぜ小さい頃は学習スピードが速かったのか?

「うちの子、何だかふつうになってきていて…小さいときはもっとおもしろい子だったんですけどね…」

「子どもの頃はいろんなことに興味を持ってたし、どんどんチャレンジしてたんですけど…」

 

体験授業などの後、保護者さまとお話をしていると、そんなご相談を受けるときがあります。

 

小さい頃って、ほんとにいろんなことに興味を持って、夢中になってやって、どんどん成長して、ひょっとして、うちの子って天才…!? なんて思うことがあったります。

 

でも、小学校に入り、少したってくると、だんだん、おとなしくなってきて、あんなにいろんなことに興味を持って、どんどんチャレンジしていた子が、枠のなかに入ってしまったようになり、何だか成長速度も遅くなっているような気がする…そう感じられる方もいるんですね。

 

良かれと思って、いいと感じた環境に入れてあげたりしたのに、そんな風になったのでは、いったい、どうして!? という気持ちになってしまうのもわかります。

 

小学校に入った途端に「ふつう」になってしまう。

 

そこには理由があるのですね。

 

数年前、『フォトリーディング』で有名な、NLP(神経言語プログラミング)と加速学習の世界的権威であるポール・R・シーリィ博士が来日したとき言っていたのが、

 

「子どもはみんな天才だというが、学校に入る前、みんなが自然にやっていた学び方が『加速学習』のエッセンスだ」

 

ということでした。

 

学校に入る前、子どもたちには、「これがやりたい!」という『高い動機づけ』があり、そこには、「がんばって!」「すごい!」「そんなこともできるようになったの!?」というような、お母さんたち家族含め、まわりからの『温かいサポート』がありました。

 

『失敗はなく』、ただ、今回はうまくいかなかったという結果があるだけ。どんどん『行動することで学び』、さらには、「こうやったらいいよ」「こういうところがよくなったよ」という『すばやいフィードバック』がありました。いろんなところを『冒険』し、たのしく新しい世界を『探検』していました。

 

それが、子どもが天才であり、すごい成長速度だった理由なんだよという話でした。

 

子どもたちは、脳に合った学び方をしていたから、大人が驚くようなスピードで学び、吸収し、成長していっていたのですね。

 

「脳に合った学び方」をし、何より、主体は「学習者である子ども自身」でした。

 

ところが、学校に入ると、主体は学校になってしまいます。(クラスのような「集団」だと、そうなるしかないのですが)そして、元々、持っていた能力や才能が活かされなくなっていってしまうのですね。

 

学習を加速させるには、「脳機能をベースにした」「学習者が中心の」学び方に戻していくことが大事。

 

そのためには、まず、効果的に学習できる心理状態をつくることが大切です。

 

キリッとした環境がいいと感じられるかもしれませんが、脳波が緊張し、批判的で、理性が強く働いているような状態では、学習は効果的に進みません。いっぱい笑って、助け合って、体を使って、発表して、聞いて…そういう状態が理想。遊んでいるような状態でこそ、学びは加速します。

 

じゃあ、そんな状態をどうやってつくるのか。

 

覚えておいてほしい目安が「3対1」。

 

別名、「ロサダライン」ともいわれますが、ポジティブな感情とネガティブな感情の割合が「3対1」以上だと、パフォーマンスが上がるということが、心理学者のマルシェル・ロサダの研究によりわかっています。「1.15対1」だった職場が、みんなで努力し、「3.56対1」になるようにした結果、業績は40%も上がったそうです。理想は、「6対1」といわれています。

 

脳というのは、「幸せ」を感じると、セロトニンやドーパミンといった化学物質が分泌されて、気分が上がるだけでなく、視野は広がり、学習機能がアップします。ポジティブな感情の状態だと、外に関心がいき、質問も生まれやすくなります。そして、ネガティブな感情というのは、ポジティブな感情よりも強く感じるものなので、その数倍もポジティブな感情を多く感じていないと、悪影響を消すことができないのですね。多くの人は「2対1」ほど。うつ病の人などは「1対1以上」といわれています。

 

子どもたちのポジティブな感情とネガティブな感情の割合が「3:1」以上になるような環境にあるのか? 普段かけている言葉がけ、かけられている言葉がけは、どちらの感情を感じるようなものなのか?

 

どうも伸び悩んでいるな…と感じた時、よかったら、環境をチェックするための参考にしてもらえたらなと思います。

 

言葉がけ以外にも、

  • テレビなどの「メディア」にふれる時間を減らす
  • 休みを増やす

なども有効です。

(メディアは「こうするのがふつう」「そうでないと足りていない」という暗黙の偏見を刷り込み、休みがない状態はポジティブな感情を感じにくくしてしまいます)

 

子どもたちも、そして、保護者さま自身も、じぶんにやさしくなり、本来の力を思い出し、どんどん才能を発揮できるようになりますように!

 

(にいどめ)